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グローバル展開成功のカギは外国人との信頼関係/株式会社サンエース

グローバル展開成功のカギは外国人との信頼関係/株式会社サンエース

グローバル展開成功のカギは外国人との信頼関係

塩化ビニール製品に欠かせない安定剤メーカーのサンエースは、シンガポールなど世界に営業拠点や工場を持ち、グローバルに展開する。25カ国を数える様々な国籍を持つ同社社員のマネジメントについて佐々木亮社長に聞いた。(編集部 鈴木)

佐々木 亮氏 佐々木 亮(ささき・りょう)
1963年、神奈川県生まれ。87年に同社入社。シンガポール駐在員として実績を挙げ98年に同社社長になる。グループ会社は9カ国に10工場。 同社社長。

小さな会社がこだわる海外事業

 サンエースの主力商品は塩化ビニールの安定剤である。上下水道管、電線被覆、住宅建築部材として欠かせない塩化ビニールは、加工時に用途に合わせて安定剤が必要となる。その安定剤をパイプ・電線などの樹脂加工メーカーなどに提案しながら販売することで東南アジア、オーストラリア、南アフリカ、中国、インド、サウジアラビア、ドイツと世界を相手に拡大してきた。

 小さな会社がなぜこれほどまでに海外展開にこだわるのだろうか。佐々木の原点は、1987年に当時海外に唯一の拠点だったシンガポール赴任にあった。

「当時、シンガポールの会社は赤字続きで債務超過状態でした。日本人社員は3人、現地の外国人社員は30人ほどで私の仕事は、まず投資に対して明らかに少なすぎた販売量を増やすことからでした」と佐々木は振り返る。まず始めたのは販売ルートの見直しだった。

「日本の商習慣をそのまま外国に持ち込み、販売は日系の商社任せで、もうからない事業を続けていたのです」

 当時、営業部隊の前線にいた佐々木は、社内での技術サポート人員を増員して、さらに販売を現地のディーラーやエージェントに任せることにした。

 各地で新規に採用したディーラーやエージェントたちはとてもハングリーだった。本気で売り上げを伸ばそうとする地元でのネットワークが構築できたからこそ、債務超過状態の泥沼から抜け出ることができた。

 「これらのネットワークの広がりにより、1989年には前年比で3倍増の売り上げを記録し、事業が拡大する大きな契機となりました。その後会社を拡大する過程で、販売だけではなく、あらゆる局面でシンガポールやマレーシア、イギリスなどの外国人にマネジメントを任せたからこそうまく回転し始めたのです」

 海外実績が評価され、赴任して10年後の98年に35歳で日本のサンエース本社(当時の社名、品川化工)の社長に起用された。

 海外展開は人材で決まる。1991年にオーストラリア法人を買収できたのは、シンガポールで採用できたイギリス人の存在なしには語れない。その後のマレーシア、中東、南アフリカへの国際展開は、最初に買収したオーストラリア法人の現地責任者の貢献なしにはあり得なかった。また英語や中国語など数多くの言語をあやつるシンガポール人たちは、中国、インドへの事業拡大と、現地での合弁事業の経営に大いに貢献している。

 塩ビ商品では、日本ではとりわけ単位当たりの生産性と、外観を含めた品質にこだわる。ヨーロッパでは外観はさておき、製品の物理的強度にこだわるし、アフリカは紫外線が強いから耐光性があるもの、中東やアジアでは価格競争が厳しいため、値段が安く良質のものを求められる。

 こうした背景から各国別にきめ細かな注文に応じなければならない。それぞれの地域の実情に詳しい現地スタッフの経営陣への登用を素早く決めたことが、現地会社の組織活性化につながった。

 「多くの日本の大企業の社員は、私の体験を聞くと、外国人を登用してリスク管理はどのようにしていますかと、必ず質問します。しかし日本人であれば誰でも無条件に信頼できる訳ではないですよね。優れた能力を持ち、長年苦労をともにしながら一緒に働いてきた仲間であれば、国籍を問わずに信頼できるはずです」と佐々木は笑う。