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場所も時間も柔軟に!期待高まるテレワーク

第4回 テレワークの今後の展望、目指していくべき理想とは

第4回 テレワークの今後の展望、目指していくべき理想とは

 近年、多種多様な働き方が生まれているなか、政府が推進している新たな働き方のひとつが、ICT(情報通信技術)を用いることで時間や場所の制約を受けずに働くことができる「テレワーク」だ。

 政府は2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催を契機に働き方改革を行うべく、開会式にあたる7月24日を「テレワーク・デイ」と定め、大手企業を中心にテレワークの導入を呼びかけた。1回目となった今年の7月24日は、大手航空会社などをはじめ約420の企業・団体が首都圏で一斉に在宅勤務などテレワークを実施。参加人数は延べ3万人を上回った。

 第4回は「テレワークの展望」、そして「目指していくべき理想」をテーマに、テレワークマネジメント代表取締役の田澤由利氏に引き続き話を聞いた。

2020年がひとつのメドも改革は始まったばかり

 政府が推進する働き方改革において、テレワークの普及に携わるひとりとして、2020年のオリンピック・パラリンピック開催までに成し遂げていきたいことはたくさんあります。少なくとも今よりテレワークが普及し、自分に合った働き方を選択できる人が増えているということは、間違いなくいえると思います。

 ただ、企業の数は数え切れないため、今後3年で劇的に変わるかというと、そこまではないかもしれません。理想としては切り分けしやすい仕事だけではなくて、一般的な仕事がテレワークでもできるようになっていることを望みますし、そうするために努力するのみです。

 また、政府が掲げる施策には起業やフリーランスを増やそうという考えもあります。これは一見、良い兆しのように見えますが、雇用の安定という意味では危うい面もあります。「起業してください、あとは知りません」とならないように、しっかりと支援を継続していく仕組みを整える必要があります。「働き方改革、テレワークの推進」と息巻いた結果、自営業者が増えて個人の働き方が不安定になる、長時間労働の是正の逃げ道が在宅勤務になるというのでは話になりません。

理想は働きながら家族との絆を深められる社会

  テレワークを推進する立場であっても、働き方のすべてがテレワークになればいいというわけではありません。テレワークが推進されていくなかで、出産や育児、介護など、家族の都合による離職が減り、個人の都合に合わせて働ける選択肢が増えるなど、働き続けたいと考えている人が仕事をやめずにすむようになることに価値を見いだしています。

 そのなかでも、現在そして未来へと続く高齢化社会にとって、親の介護のために実家に戻るのではなく、親のそばで仕事ができる方法が増えるというのは、とても重要なことだと考えています。

 例えば私は北海道で暮らしているのですが、親は奈良で暮らしています。当社はテレワークを実践しているので、奈良に行くたびに実家に泊まりながら、通常の業務を行うことができます。ずっと実家に住む形ではありませんが、介護でやむなく帰るわけでもなく、気軽に親のもとに帰ることができる。そうすることで会話も増えていきますし、心配や不安の軽減にもつながります。

 また社員の例を挙げますと、北海道北見市出身の女性が以前、東京にある会社に就職していました。東京と北海道ですから頻繁には帰ることができず、帰るとしてもお盆だけ。仕事があるから3日ほどしかいられなかったそうです。

 それが当社に入社して、北見にサテライトオフィスを構えるようになったことで、飛び石となっていた業務を継続して行えるようになり、お盆に10日間も実家にいられるようになりました。そのときの印象的な一言が「母親と一緒に仕事帰りに買い物をしたのは初めて」でした。この言葉は本人にとって、テレワークが実現できたからこそでもあります。

 仕事を中心とした生活となると、どうしても仕事がある場所にとらわれてしまいがちです。理想は非常に高いですが、テレワークが今後、勤務先や時間、場所などにとらわれることなく、家族との絆を深めながら自分に合った働き方を選択できることが当たり前になる社会の実現に、貢献できるようにしていきたいと考えています。

田澤由利(たざわ・ゆり)

株式会社テレワークマネジメント 代表取締役

北海道在住。上智大学卒業後、シャープに入社するも出産と夫の転勤により退職。その後、在宅でのフリーライター経験を経て、1998年にワイズスタッフ、2008年にテレワークマネジメントを設立。企業へのテレワーク導入支援、国や自治体のテレワーク普及事業などを幅広く展開している。現在は内閣府の政策コメンテーターも務める。
著書に「テレワークで生き残る!中小企業のためのテレワーク導入・活用術 」(商工中金経済研究所)、「在宅勤務(テレワーク)が会社を救う」(東洋経済新報社)がある。2015年度情報化促進貢献個人等表彰にて総務大臣賞受賞。

●株式会社テレワークマネジメントについて
今まで事務所を持って働いていた人たちが、時間や場所にとらわれず柔軟に働くことができるようにと変わっていくことはなかなか難しい。何をどうしたらいいのか分からないという企業の悩みや疑問を聞きつつ、スムーズにテレワークを導入していくためのコンサルティングを行っている。