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場所も時間も柔軟に!期待高まるテレワーク

第1回 テレワークを知る

第1回 テレワークを知る

 近年、多種多様な働き方が生まれているなか、政府が推進している新たな働き方のひとつが、ICT(情報通信技術)を用いることで時間や場所の制約を受けずに働くことができる「テレワーク」だ。

 政府は2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催を契機に働き方改革を行うべく、開会式にあたる7月24日を「テレワーク・デイ」と定め、大手企業を中心にテレワークの導入を呼びかけた。第1回目となった先月24日は、大手航空会社などをはじめ約420の企業・団体が首都圏で一斉に在宅勤務などテレワークを実施。参加人数は延べ3万人を上回った。

 今後、さらに推進されていくことになるテレワークは、そもそもどういう働き方なのか。テレワークの導入がどのような可能性をもたらすのか。転職においてどのような関わりが考えられるのか――。いち早くテレワークに取り組み、数多くの企業のマネジメントを行うほか、テレワークを主導する総務省主催のセミナーにも登壇経験を持つテレワークマネジメント代表取締役の田澤由利氏に話を聞いた。

労働者側、企業側の双方にメリット

 「テレ」と付いているのでよく「電話の仕事ですか?」と言われるのですが、決してそうではなく、端的に言えば「離れたところで働く」のがテレワークです。ではどこから離れているのかというと本来働くべき場所、つまり会社、工場、店舗など固定の場所からになります。

 政府はこれまで、テレワークについて「ICTを活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」というように定義していました。なぜ過去形かというと昨年、少し表現が変えられたからです。「場所や時間にとらわれない」とすると、労働者側は「夜中までずっと働かされるのか」と思ってしまいがちですし、企業側は「そんな勝手に働かれても困る」という先入観が入りやすくなってしまいます。

 そのため現在は「ICTを活用した、場所や時間を有効に活用できる柔軟な働き方」という定義になっています。「場所や時間を有効に活用できる」とすることで、労働者側は「ワークとライフのバランスを取ることができ、通勤時間を削減することができる」。企業側は「無駄な移動がなくなったり、有用な人材を確保したりすることができる」というような捉え方へと変わるようになったと思います。

テレワークの導入状況(企業):企業において「テレワークを導入している」または「具体的な導入予定がある」のは16.6% 出所:総務省「2016年通信利用動向調査」

場所や時間における柔軟性が働き手を生む

 場所や時間が有効に活用できるということは、例えば私は北海道に自宅があるのですが、出張で東京にいようと、どこにいようと、いつもどおりネット上にあるオフィスにアクセス(出勤)すれば働けることになります。

 また24時間365日、離れて働かなければならないということではなく、1週間に8時間以上離れて働いていれば、それはテレワークとなります。例えば家族の面倒を見るために週に1日、自宅で作業を行う、子どもの送り迎えのために毎日1、2時間だけ自宅近くのカフェで仕事をするのもそうです。

 つまり生活環境により、場所や時間に柔軟性がないために働きたくても働くことができなかった人が、有効に活用できることで働けるようになる。テレワークにはさまざまなメリットが挙げられますが、これが最大のメリットだと言えます。

 これから日本は少子化がさらに進み、労働力人口もそれにともなって減っていきます。テレワークの導入が進めば、労働力人口の減少を補えることが期待できるので、政府が企業などに働きかけて推し進めているわけです。

新たに注目されるサテライトオフィス

 テレワークは働き方のひとつですので、様々なケースで行われる可能性があります。分類すると、会社に務めている方は雇用型テレワーク、自営業やフリーランスの方は自営型テレワーク。さらに、移動をする、しやすい形のテレワークはモバイル型テレワーク。反対に移動できない方や、介護などで自宅から離れられない方が行うのが在宅型テレワークです。テレワークは大きくこの4つのカテゴリーに分かれます。

 この4つは労働者側のカテゴリーですが、働く場所に関しては会社、移動先、自宅の3つの項目が挙げられます。加えて近年、サテライトオフィスというものが注目されています。これは「会社よりも自宅に近い」「会社よりも移動先に近い」オフィスのことです。

 またサテライトオフィスにも都市型(営業がメーンの目的)、郊外型(通勤の緩和がメーンの目的)、地方型(危機管理、リフレッシュがメーンの目的)があります。こちらも政府が推進していますので、今後さらに増えていくことが予想されます。

テレワークの分類:ICTを活用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方 出所:テレワークマネジメントの独自の資料を基に作成

田澤由利(たざわ・ゆり)

株式会社テレワークマネジメント 代表取締役

北海道在住。上智大学卒業後、シャープに入社するも出産と夫の転勤により退職。その後、在宅でのフリーライター経験を経て、1998年にワイズスタッフ、2008年にテレワークマネジメントを設立。企業へのテレワーク導入支援、国や自治体のテレワーク普及事業などを幅広く展開している。現在は内閣府の政策コメンテーターも務める。
著書に「テレワークで生き残る!中小企業のためのテレワーク導入・活用術 」(商工中金経済研究所)、「在宅勤務(テレワーク)が会社を救う」(東洋経済新報社)がある。2015年度情報化促進貢献個人等表彰にて総務大臣賞受賞。

●株式会社テレワークマネジメントについて
今まで事務所を持って働いていた人たちが、時間や場所にとらわれず柔軟に働くことができるようにと変わっていくことはなかなか難しい。何をどうしたらいいのか分からないという企業の悩みや疑問を聞きつつ、スムーズにテレワークを導入していくためのコンサルティングを行っている。

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