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一歩先をゆく魅せる「英語」

第11回 文型以外の順序

第11回 文型以外の順序
 大手を先陣として、企業のグローバル化は急ピッチで進んでいます。急激に変化するビジネス環境においてキャリアを構築していくうえで、ビジネスパーソンには様々なビジネスシーンで、英語によるビジネスドキュメントを作成するスキルの向上が求められるようになっています。中途採用でも社会人経験が豊富な方を中心に、求めるレベルの差はあるものの語学力(特に英語)を必須項目に挙げる企業が増えています。
 このコラムでは、グローバル化が押し寄せているなかで一歩先をゆくビジネスパーソンとして、英語を駆使して世界標準のビジネスドキュメントを作成するための重要なポイントを解説していきます。
第11回

文型以外の順序

 前回は、語順の基本を成す基本的な文型を解説しました。今回は、形容詞句や副詞句など基本文型以外の語順を解説します。紹介する順序は文法的に厳密に定められてはいないので、学校の授業では教えられていません。ただし、慣習として定着しているので、学んでおくことをお薦めします。

名詞の前に付ける形容詞の数は3つが限界

 文型レベルの語順もさることながら、英語では形容詞の順序も概ね決まっています。前述の通り、個別の対象物に注意を向ける世界観をベースとする英語は、〈名詞〉を重視します。その名詞を直接的に説明するのが形容詞です。前置修飾するのであれば数としては2つ、多くて3つくらいが一般的です。

a stand-alone securities company
a North American equipment manufacturer
the world's largest market forecasting firm
an Asian high-tech product designer

確かに長いものもないわけではありません。例えば、

the world's largest and most competitive global energy company

くらいが限界と考えておくとよいでしょう。以前、経済記事で見かけたハイフンを付けた複合形容詞句に

the worst not-technically-in-a-recession year

というのがありました。レトリックの一環としてたまに用いるのは面白いかもしれませんが、多用すると顰蹙(ひんしゅく)を買うでしょう。

前置する形容詞の順序は概ね決まっている

 形容詞の一般的な順序は、
限定詞 ⇒ 冠詞 ⇒ 評価 ⇒ サイズ ⇒ 形 ⇒ 年齢 ⇒ 色 ⇒ 由来 ⇒ 素材
です。順番の一例として上記すべての要素を用いて〈chair〉を修飾するのであれば、

some of the valuable large round new brown European wooden chairs

となります。〈company〉であれば、

many of the leading small flat new bright Asian high-tech companies

となります。〈形〉のflatは組織をイメージしました。また〈色〉はbright(=かしこい、将来性のある)としてみました。これは、あくまでも形容詞の順序の解説として理解しておいて下さい。先の「3つ以上は要注意」のお薦めを大幅に超えています。内容的には無理がありますので、多くなるようであれば名詞の後に説明するようにします。

後置修飾の場合は長くなるケースも

 一語以外の後置修飾の場合には、前述の「上限は3つ」の制約は必ずしも当てはまりません。この場合には不定詞、前置詞句、関係節などの形容詞的用法となるため、かなり長くなり得ます。 例えば、

The new management is harboring big ambitions to become a significant player in the growing segment for devices that help the end consumers.

のように big ambitions を不定詞to become以降、延々と修飾しています。次の事例も同様です。the suppliers が関係節、前置詞句などで長く修飾されています。

The CEO’s decision to invest was great news to the suppliers who could potentially benefit from the new order that might arise as a result.

副詞句の順序はwhere ⇒ when ⇒ how ⇒ whyが基本

 文型や形容詞の順序とともに、主に副詞的用法として追加される情報にも一定の順序があるので確認しておきましょう。基本的な順序は

where ⇒ when ⇒ how ⇒ why

となります。

標準型:
Co.X sold its subsidiary(SVO)/ in Japan/ last year/ with a help of an investment bank/ in order to streamline its global operation.

標準型:
Co.X guarantees its customers a complete satisfaction (SVOO) /around the world/ all the time/ through its service programs/ to maintain customer loyalty.

 この順番は、あくまでも基本的な流れを表します。ですから、基本文型の前に置くことによって、特定の情報を強調することもできます。例えば、

目的強調型:
In order to streamline its global operation,/ Co.X sold its subsidiary(SVO)/ in Japan/ last year/ with a help of an investment bank.

手段強調型:
Through its service programs,/ Co.X guarantees its customers a complete satisfaction (SVOO) /around the world/ all the time/ to maintain customer loyalty.

 このように前出しする際は、どれか一つに絞るようにしましょう。基本文型に先行する情報が長すぎると文全体の理解が難しくなります。
 もし同じ副詞句の中で何かしらの序列が発生する場合は、小さい単位から大きい単位への準に並べます。これも一般的な基本順序ですから、特定の情報を強調したいのであれば入れ換えることができます。

標準型:
The plan was suddenly changed at ten o’clock this morning.

強調型:
The plan was suddenly changed this morning at ten o’clock.

 以上、形容詞や追加情報としての副詞句の順序について解説しました。明瞭さと読みやすさの観点から、次回は〈文末重心の原則〉を紹介します。長い主部や目的語をセンテンスの後ろのほうに置く原則です。

高杉尚孝(たかすぎ・ひさたか)

筑波大学大学院客員教授・高杉尚孝事務所代表

慶応大学経済学部卒。ペンシルバニア大学ウォートン経営大学院卒 (MBA)。アルバート・エリス研究所認定スーパーバイザー心理セラピスト。ニューヨーク証券取引所認定スーパーバイザー財務アナリ スト。マッキンゼー、JPモルガンのニューヨーク事務所、そして東京事務所に勤務。米系情報コンサルティング会社マネジング・ディレクターを経て、高杉尚孝事務所設立。精神タフネス、論理思考、ライティング、ファイナンス、シナリオ分析などの企業研修に従事。日経ビジネススクール講師、NHK教育テレビ「英語ビジネスワールド」元講師。著書に「英語ビジネスドキュメント・ライティングの技術」「問題解決のセオリー」「論理表現力』(日本経済新聞社)、「実践・交渉のセオリー」「実践・プレッシャー管理のセオリー」(NHK出版)など。最新刊に「英語ビジネスドキュメント・ライティングの技術」(日本経済新聞社)がある。


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