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情報通の一歩は今も昔も井戸端会議から始まる?

情報通の一歩は今も昔も井戸端会議から始まる?

落語をヒントにコミュニケーションのコツをつかむ

近年、落語の人気が急上昇。落語ブームにあやかって、ビジネスでも「つかみはOK」となるようなコミュニケーション術を、本コラムではお話ししていきます。

転職に初めて踏み切るという方も、転職のチャンスをうかがっている方も、自分という唯一無二の価値ある商品を売り込む有効な術として、ぜひ参考にしてください。

※文/山田敏弘(岐阜大学教育学部教授、専門:日本語学・方言学)

情報通の一歩は今も昔も井戸端会議から始まる?

 本年もよろしくお願いいたします。

 ビジネスパーソンたるもの、新春互礼会から通常の会議まで、日々、言葉を武器に戦っています。社内・社外のバトルを勝ち抜いていくのに役立つコミュニケーションスキルを、本年も落語から学んでいきましょう。

井戸端会議はSNSにも通ずる情報交流の場

 落語と言えば、井戸端会議はつきものです。水くみが家事の大事な仕事であった時代、皆が長屋の井戸に集まっては話に花を咲かせたようで、その様子は落語の噺にも多く取り入れられています。今回は、ユニークな風貌と語りで絶大な人気を博した昭和の大落語家、三代目三遊亭金馬の「三軒長屋(さんげんながや)」から拾ってみます。

 鳶(とび)の頭(かしら)と剣術指南の侍に挟まれた三軒長屋の真ん中に住む、とある旦那のお妾(めかけ)さん。両隣がうるさいからと、両隣の住人を追い出そうと旦那に相談しますが、それを立ち聞きした女中が井戸端会議で話してしまったことから、一騒動起こります。鳶頭と侍が結託して旦那から金を巻き上げようと画策する場面で、金馬はそれを軽くいなす旦那の口上を面白おかしく語ります。

 落ちは落語を聞いていただくとして、着目したいのは井戸端会議の情報拡散力。今なら交流サイト(SNS)にも匹敵する情報交流の場として、井戸端会議は活用されていたようです。ビジネスパーソンの皆さんもインターネットの活用のみならず、いろいろな実際の井戸端会議に参加して、さらなる情報通になってみてはいかがでしょうか。

集中力の持続のめどに合わせて目的と時間を明確に

 さて、毎日のように会議に追われているビジネスパーソンも多いと思いますが、会議にはときどき、「結局、この会議の目的は何?」と思わず言いたくなるものがありませんか。中でも時間を区切らず行う会議は、無目的な議論が入り込みがちです。

 ただただ長いだけの会議になることを避ける意味でも、例えば会議は30分まで、議題によって60分までと、時間を事前に明確に決めましょう。落語も1演目でせいぜい30分ほど。人間の集中力などは、一般的にその程度しか持続しません。枝葉の議論にとらわれすぎず、会議の主たる目的を常に確認することが重要です。

 余計なお節介ですが、自分のパフォーマンスのために会議を長々と実施するのは、参加するメンバーにとっては時間泥棒にしかなりません。常に俯瞰して、今日の会議の目的に合っているかを、議長として判断するようにしましょう。細部を詰めるのは個別にできること。このメンバーで集まっているからこそ、話し合うべきことを優先させなければなりません。

 落語は1演目がせいぜい30分と言いましたが、大作を時間に合わせてはしょる技術もあるようです。説明が長々となるのも読みづらいと思いますので、それはまたの機会に。

山田敏弘(やまだ・としひろ)

岐阜大学教育学部教授(専門:日本語学・方言学)

1965年岐阜県生まれ。名古屋大学卒。名古屋大学大学院博士課程前期課程修了。大阪大学大学院博士課程前期課程を経て博士取得(文学)。国際交流基金派遣日本語教育専門家としてローマ日本文化会館で勤務経験を持つ。著書は「国語を教える文法の底力」「国語教師が知っておきたい日本語文法」「日本語文法練習帳」(くろしお出版)、「日本語のしくみ」(白水社)、「日本語のベネファクティブ」(明治書院)、「その一言が余計です。」(ちくま新書)、「あの歌詞は、なぜ心に残るのか」(祥伝社新書)など。2016年4月から17年3月まで、ラジオ深夜便(NHKラジオ第一放送、毎月第3木曜深夜)のコーナー「暮らしの中のことば」に出演した。