“NEWデル”への革新的な戦略転換すべての原動力は「お客様のために」 PC事業を中心に据えた日本市場向けの戦略を基に、20年以上にわたり業績を伸ばしてきたデル日本法人。近年、その方向性を急角度で転換し、グローバルと足並みを揃えた“NEWデル”へのシフトを推進しています。こうした変化の必然性と目指すべきデルの将来像について、社長のコメントを紹介します。

デル株式会社 代表取締役社長 平手 智行氏 1987年、日本IBMに入社。アジア・パシフィック地区経営企画、米IBM本社の戦略部門を経て2006年、日本IBM執行役員兼米国IBMバイスプレジデントに就任。国内では主に通信・メディア、流通、公益などの業種別事業ならびにサービス事業を統括。12年、米電気通信事業者大手のベライゾンでエリアバイスプレジデント、ベライゾンジャパン社長に就任。15年8月、現職に就任

度重なる事業拡大と株式の非公開化その背景にある創業者の信念とは

創業した1984年から現在まで一貫して、創業者のマイケル・デルが守り続けてきた理念。それは「お客様のために価値を追求する」ということです。

彼がデルを立ち上げた当時、PCパーツの性能は日々、飛躍的に進化し、一方でコストは劇的に下がり続けていました。しかし、大手PCメーカーでは製品サイクルを2~3年に設定していたため、ユーザーは時代遅れの製品を高い価格で買わざるを得ませんでした。

マイケル・デルはそうした状況に異議を唱え、最新技術を最安値で提供したいと考えました。つまり、彼が目指したのはPCメーカーの立ち上げではなく、ITデバイスサプライチェーンのイノベーションだったのです。

創業から約10年後にはサーバー事業を、さらにその後はストレージやセキュリティー、ソフトウエア事業にも進出していますが、こうした事業の拡大は利潤の追求が最終的な目的ではありません。お客様の目線に立ったユースケースに基づいて「今、何が必要なのか」を判断した結果であるといったほうがより正確でしょう。

2013年10月に完了した株式の非公開化は、まさにマイケル・デルの理念を象徴しています。株式を公開すると企業は株主に対して株価の維持や配当といった責務を負い、短期的な利益を優先しがちになってしまいます。しかし株式を非公開化すれば、新しいテクノロジーを導入するための中長期的な視点に立った投資が可能となり、人材・資金・時間といった企業の持つ資産のすべてをエンドユーザーのために使うことができます。私財を投じて自社株を買い上げた彼のまっすぐな信念とその強さに、私は心から感服しています。

「Go for Premium」に不可欠なパートナー企業との緊密な連携

デルはグローバル市場において、包括的なソリューションを提供する世界トップレベルのIT企業として認知されていますが、日本では「PCのデル」というイメージが浸透しています。デル日本法人では現在、従来の日本独自の戦略から、グローバルと方向を合わせた“NEWデル”への方向転換を推進しており、私が2年前に社長に就任した理由もそこにあります。

例えばある製品やサービスを提供する際、価格もクオリティーもバリューも抑えて、ユーザーが手軽に購入できることを目指す「Go for Less」という手法があります。しかし、日本のようにITマチュリティー(成熟度)の高いマーケットでは、顧客が求めるのは「Go for Premium」です。

前述したように、当社は多彩な事業を展開し、価値の高い製品やサービスを潤沢に有していますが、お客様にとって真に価値のある「Go for Premium」を当社の力だけで成し遂げるのは困難です。当社の強みを最大限に生かし、お客様のデジタルトランスフォーメーションを実現する価値を創造するには、日本が誇る優秀な他企業との緊密なパートナーシップが何よりも必要なのです。

そう考えたマイケル・デルは、私が社長に就任する前の会談で「日本におけるデルの大変革を、ぜひあなたに任せたい」と話しました。私はこれまでに航空会社の統合やコンビニエンスストアへのキオスク端末の導入、日本初のネットバンキングの立ち上げなど、複数の企業をスコープオブワークというソリューションでパートナー同士として連結し、大規模なプロジェクトを完遂するという案件をいくつも手がけてきました。そうした経験と手腕に着目し、“NEWデル”をけん引するリーダーとして私に声をかけてくれた彼の熱意に精一杯、応えたいと思っています。

情熱なくして成功はありえないリスクを負う覚悟で一歩でも前へ

私が社長に就任してから約1年半、デル日本法人では様々な社内改革を進めてきました。その成果は、デルが展開している約180カ国の中で伸び率・成長率ともに日本がナンバーワンという業績に表れています。昨年9月のEMCとの統合により、他に類を見ないほどパーフェクトな製品ポートフォリオを実現しているのも大きなポイントです。こうした変化による追い風と成長を後押しすべく、今年度もより一層の人材強化を計画しています。

私たちが求めている人材とは「お客様のために最高のものを提供したい」というマイケル・デルの理念に共感してくださる方です。どんなに優秀な人材でも、その根底に情熱がなければ物事を成功に導くことは不可能です。リスクを覚悟の上で、お客様のために新たなチャレンジに取り組んだ結果、失敗して転んでもそれは一向にかまいません。

反対に、当社で絶対にやってはいけないことは「現状維持」です。今までと同じことを続けていては、同じ結果しか得られません。それはつまり、何もしていないのと同じです。“NEWデル”という壮大な目標を達成するには、勇気と志を持って自らの得意領域の外へ踏み出し、一歩でも前に進んでいく気概が必要なのです。

仕事を通じて得る仲間やお客様とのご縁は、一生の財産です。社員一人ひとりが仁を尽くし、助け合い、大きな目標に向かって走り続けている当社で、そうした人の輪を存分に広げていただければ幸いです。