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おとなのキャリアデザイン講座

第5回「ポータブルスキル『伝える技術』はいかに大切か」論

第5回「ポータブルスキル『伝える技術』はいかに大切か」論

 本当にこの仕事が自分に合ってるのだろうか……。なかなかチャンスが回ってこないのに、このままこの会社にいても良いのか……。先が見えないキャリアへの不安を持っている方へ。これまで400社・5万人に対して営業力強化やリーダーシップ開発などの実践的指導を手がけてきた人材開発のプロである鳥居さんが、悩めるビジネスパーソンたちにキャリアデザインのヒントを講義します。

profile

鳥居勝幸(とりい・かつゆき)

サイコム・ブレインズ株式会社、取締役会長

マネジャーのリーダーシップ強化や組織的な営業力強化を主たるテーマに、講師、執筆、コンサルティングを行っている。富士ゼロックス(株)と(株)リクルートに勤務の後ブレインズを設立し起業。2010年よりサイコム・ブレインズ(株)の取締役会長に就任。主な著書として、『そろそろしゃべるのをおやめなさい』(東京ファイナンシャルプランナーズ)、『段取り八分の仕事術』(中経出版)、『ライバルに勝つ営業テク』(日経産業新聞連載)、『部長のためのリーダーシップ』(日経産業新聞連載)など。新刊として『営業大全』(2016年10月発売 日本経営合理化協会出版局)など。


■サイコム・ブレインズのホームページ
https://www.cicombrains.com/


ある大手企業でマネジャーの組織運営に関する問題意識を調査したところ、「メンバーとのコミュニケーション」を挙げた人が過半数いて、人材育成部門で注目されました。確かに現在、マネジャーは以前よりもメンバーと話す時間が少なくなっています。多くのマネジャーはプレーヤー化し第一線に立っています。働き方改革では、残業時間の削減を提言。加えてフレックスタイムやテレワークなどにより、皆が職場に集まる時間が少なくなっています。このような流れの中で、コミュニケーション頻度が低くなっているのはうなずけます。仕方ないか……と思わないでもありません。

ところが先日、違う企業のマネジャー研修でこんなことが起こりました。
マネジャーがメンバーに説明するという状況をつくり、1人の受講者に皆の前でメンバーへの指示を話してもらいました。そのあと皆で、マネジャーの指示をどう受け取ったか、メンバーとして今後どのような行動を取るべきかを話し合ってもらいました。その結果、マネジャーの話の受け取り方は人によって異なっており、見事にバラバラだったのです。
きちんと伝わっていない……。これが日ごろ起こっていることなのかもしれません。

言ったはずなのにやってくれない、人に仕事を頼んだが見当はずれのアウトプットが上がってきた、どうもメンバーと意思疎通が図れない……。行き着くところはメンバーとの関係性の問題になりますが、そこを悩むよりも、まずは自分の言葉がきちんと伝わっているかどうかに立ち返ってみてはどうでしょうか。コミュニケーションの回数が少なくなっている今だからこそ、1回1回のコミュニケーションの質は大事なはず。いま生産性向上は重要な課題です。きちんと伝わっていないことからくる手直し、やり直しは、ぜひとも避けたいものです。

伝える技術はとても重要なコミュニケーションスキルだと思います。どの部署にいても、あるいは転職したり、独立したりしても必要なポータブルスキルです。
私からコツを2つご紹介します。1つ目は相手に伝わる言語や言い方を用いること。コミュニケーションの主人公は、自分ではなく伝える相手です。2つ目は論理構成です。例えば、まず結論とその理由を言う、そして裏付ける根拠や事象を伝える。このようなシンプルな論理を準備して話すだけでも、伝わりやすくなると思います。