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数字を読み解く

2020年度、リーマン並みのショックでマイナス成長の恐れ

2020年度、リーマン並みのショックでマイナス成長の恐れ

 転職に関わる代表的な指標としては、厚生労働省が公共職業安定所における求人、求職などの状況をまとめた「有効求人倍率」、総務省が全国約4万世帯を対象に行う労働力調査から明らかになる状況をまとめた「完全失業率」などが挙げられます。これ以外にも、景気判断などの基軸となる指標は数多く発表されています。
 新聞やテレビの報道で毎日のように耳にしたり、目に止まったりするだけに、ビジネスのみならず転職を検討、実行するうえでも注目しておきたい数字。このコラムでは日本経済研究センターの専門家による独自の視点で、統計や指標などで示される様々な数字を、雇用情勢に照らし合わせて読み解いていきます。

 2019年10-12月期は消費税率の10%への引き上げ後の落ち込みで、実質GDP(国内総生産)が前期比1.6%減と落ち込みました。20年1-3月期も中国の湖北省に端を発した新型肺炎が、日本国内でも全国的に感染が広がっているために15年以来となる2期連続マイナス成長は確実でしょう。
 日本経済研究センターの最新の短期経済予測は1-3月期の成長率を0.2%減と予測しています。しかし新型肺炎の原因であるコロナウイルスへの感染が爆発的に広がらないよう、安倍晋三首相が大規模なイベントの自粛、在宅勤務や小中高学校の休校要請などを呼びかけたことは予測の前提には入っていません。
 当センターがある東京・大手町は、2月最終週から朝夕のラッシュ時間帯でも歩いている人は少なく、飲食店街は心配になるぐらいガラガラです。一時的にはリーマンショック並みのインパクトとみる人も少なくなく、筆者もそう考えています。
 例えば中韓などからの訪日外国人が激減したり、グローバル化したサプライチェーンが寸断されたままになったりすると、経済成長が急減するでしょう。すでに1月の小売業の売上高は前年同月比でマイナスでした。鉱工業生産はプラスでしたが、リーマンショック時と同様に早晩マイナスに転じると考えられます。
 当センターの短期予測はこうしたショックが長期化すると、2020年度の経済成長率は0.2%から-0.2%になると試算しています。ただリーマンショック時は、例えば小売業の売上高は1年半近くマイナス基調が続きました。当センターよりも大きなインパクトがあると予測するシンクタンクもあります。
 有効求人倍率や失業率を見る限り、雇用情勢は完全雇用の状況が続いていますが、1月の有効求人倍率は大きく低下し、新規求人も前年同月比16%減になりました。新型肺炎が日本国内で深刻化する前の状況ですら、雇用情勢に陰りは表れています。今後の展開次第では、慎重に情勢を注視しながら転職先の企業を選別する必要もあるでしょう。

(日本経済研究センター・主任研究員 小林辰男)