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数字を読み解く

中長期的には専門性を身に付けることが、転職成否のカギ握る

中長期的には専門性を身に付けることが、転職成否のカギ握る

 転職に関わる代表的な指標としては、厚生労働省が公共職業安定所における求人、求職などの状況をまとめた「有効求人倍率」、総務省が全国約4万世帯を対象に行う労働力調査から明らかになる状況をまとめた「完全失業率」などが挙げられます。これ以外にも、景気判断などの基軸となる指標は数多く発表されています。
 新聞やテレビの報道で毎日のように耳にしたり、目に止まったりするだけに、ビジネスのみならず転職を検討、実行するうえでも注目しておきたい数字。このコラムでは日本経済研究センターの専門家による独自の視点で、統計や指標などで示される様々な数字を、雇用情勢に照らし合わせて読み解いていきます。

 今回は2019年12月に公表した日本経済研究センターの産業ピックアップを紹介します。
 2035年に向けた中期的な日本経済は、産業全体のサービス化が進行し、国内製造業の成長は精彩を欠くことになるでしょう。労働生産性は、製造業ですら大きく伸びることは期待できません。自動車産業は生産拠点の海外移転が続き、輸出のけん引役にも限界が表れるでしょう。
 エレクトロニクス(情報通信機器や家電など)は輸入品に代替され、生き残りすら厳しい状況に陥るでしょう。輸出は全体的に先細ります。
 自動車は、成長が続く新興国市場への浸透や自国第一主義を掲げる米国との摩擦回避のために生産拠点を海外へ移転する動きは加速しても、止まることはないでしょう。人口減少・高齢化に加え、若者の車離れもあり、国内需要は低下し続けます。
 2018年に970万台以上の自動車を国内で生産していましたが、35年には800万台を切る水準まで減少すると予測しています。国内販売は19年に500万台強ありましたが、35年には、330万台まで減少するとみています。
 輸出もしばらくは増加すると考えられますが、2030年代に入ると頭打ちになり、35年には19年とほぼ同水準となる500万台を切るところまで低下すると考えられます。一方、海外生産は、2000万台から3000万台まで増加するとみています。
 その結果、自動車関連の国内雇用は、35年までに25万人程度の減少、約3割減になると予測しています。さらにエレクトロニクス産業は6割以上雇用が減少するでしょう。情報通信機器やテレビなどの家電製品は、国内生産がなくなるといってよい水準まで落ち込むからです。最終製品はすべて輸入品となっている世界が、2035年です。
 ただAIやビッグデータをフル活用する第四次産業革命は、ソフトウェアが経済社会を支える中心になりますので、情報通信サービス業は雇用を維持する見通しです。高い技能を持つソフトウェア開発者にはチャンスが広がるでしょう。
 コンサルタントや弁護士といった専門職が属する対事業所サービスの雇用も2020年から35年にかけて30万人程度増えると予測しています。中長期的には専門性を身に付けることが、転職の成否のカギを握るでしょう。

(日本経済研究センター・主任研究員 小林辰男)