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数字を読み解く

短観が示す景気のピークアウト感 人手不足は変わらず

短観が示す景気のピークアウト感 人手不足は変わらず

 転職に関わる代表的な指標としては、厚生労働省が公共職業安定所における求人、求職などの状況をまとめた「有効求人倍率」、総務省が全国約4万世帯を対象に行う労働力調査から明らかになる状況をまとめた「完全失業率」などが挙げられます。これ以外にも、景気判断などの基軸となる指標は数多く発表されています。
 新聞やテレビの報道で毎日のように耳にしたり、目に止まったりするだけに、ビジネスのみならず転職を検討、実行するうえでも注目しておきたい数字。このコラムでは日本経済研究センターの専門家による独自の視点で、統計や指標などで示される様々な数字を、雇用情勢に照らし合わせて読み解いていきます。

 景気はどうやらピークアウトしたようです。1日に公表された日本銀行の短観9月調査に、製造業を中心に企業が景気の先行きが厳しいとみていることが表れています。
 業況判断指数(DI)は、製造業大企業がプラス5ポイント(景気が良いと答えた企業の割合-悪いと答えた割合)と前回の6月調査時点よりも2ポイント低下しました。先行きもプラス2とさらに3ポイント低下するとみています。
 中小企業製造業の業況判断DIは▲4(▲はマイナス)と「景気が悪い」と感じているとの結果になっています。先行きも▲9になると予測しており、景気は一層悪化すると予測しています。
 製造業全体でも足元は▲1で先行きは▲4となっており、外需に依存する日本の製造業が世界景気の不透明感や円高を懸念していることがうかがえます。
 2019年度の計画ベースの売上高も経常利益も、全産業ベースで6月調査時点から下方修正されています。設備投資計画(ソフト、研究開発を含み、土地投資額は除く)も軒並み下方修正になっています。
 先月もこのコラムで言及しましたが、米中貿易戦争の影響を感じ始めているのでしょう。米国は2500億ドル分の中国からの輸入品への追加関税引き上げを1日の発動から15日まで延期しましたが、それまでに米中の通商交渉がまとまる保証は何もありません。12月には今は追加関税がかかっていない1600億ドル分の輸入品にも15%の追加関税を課す方針です。
 中国での生産が世界の大部分を占めている製品は多いです。中国に依存する製品の値上がりは米国の物価高を招き、同国の消費を冷え込ませる可能性が高いでしょう。米国の消費が落ち込めば、世界景気の後退に直結します。
 有効求人倍率は1.59と相変わらず高止まりしており、人手不足は続いています。短観の雇用判断DIも、足元も先行きも不足が続くという結果になっています。

(日本経済研究センター・主任研究員 小林辰男)