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数字を読み解く

景気後退が急速に進むリスク高まる 求人倍率に影響も

景気後退が急速に進むリスク高まる 求人倍率に影響も

 転職に関わる代表的な指標としては、厚生労働省が公共職業安定所における求人、求職などの状況をまとめた「有効求人倍率」、総務省が全国約4万世帯を対象に行う労働力調査から明らかになる状況をまとめた「完全失業率」などが挙げられます。これ以外にも、景気判断などの基軸となる指標は数多く発表されています。
 新聞やテレビの報道で毎日のように耳にしたり、目に止まったりするだけに、ビジネスのみならず転職を検討、実行するうえでも注目しておきたい数字。このコラムでは日本経済研究センターの専門家による独自の視点で、統計や指標などで示される様々な数字を、雇用情勢に照らし合わせて読み解いていきます。

 今回は日本経済研究センターが8月下旬に公表した最新の短期経済予測の内容を中心に紹介します。
 19年4-6月期の実質GDP(国内総生産)は、前期比0.4%増と3四半期連続のプラス成長になりました。個人消費が前期比0.6%増、設備投資が1.5%増といずれも予想外に増加しました。
 特に実質賃金のマイナスが続くなかで大きく伸びた消費ですが、19年は令和元年の即位に伴う大型連休、10月の消費税率引き上げ前の駆け込みといった一時的な増加要因を含んでいる可能性があるでしょう。
 景気の先行きについては、19年度は0.7%、20年度は0.8%の成長を予測しています。日米物品貿易協定は、おおむねTPP(環太平洋経済連携協定)の条件内で9月末にまとまりそうですが、米中貿易戦争の行方が見通せません。
 世界経済の状況が大きく改善し、輸出が大きく伸びて2%近い成長を実現することは難しいとみています。これは標準的な見方です。
 むしろ心配なのは、景気が急減速するリスクです。高まっていると考えてよいでしょう。米国は、9月から家電や衣料品など約1100億ドル・3200品目分の中国からの輸入品に対し9月から15%の関税をかけました。
 すでに2500億ドル分の輸入品にも25%の関税をかけていますが、10月1日には30%に引き上げる方針もトランプ大統領は示しています。12月には中国からの残りの1600億ドル分の輸入品にも15%の追加関税を課す方針をしており、12月までにすべての中国製品に高率の追加関税が課される見通しです。
 コストの関係上、中国での生産が世界の大部分を占めている製品も多く、値上がりは確実と考えられており、米国の消費が低迷するリスクは日増しに高まっていると言えそうです。
 米国の長期金利は低下を続け、長短金利が逆転する「逆イールド」も起きています、逆イールドは景気後退のサインとも言われています。
 日本国内では長期金利は1月下旬以降マイナスです。しかも足元も下がり続けています。最新の有効求人倍率も低下傾向が見られます。どうやら景気後退局面に入ったと考えられます。

(日本経済研究センター・主任研究員 小林辰男)