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数字を読み解く

すでに景気後退しブロック経済の恐れ 雇用情勢も一変の可能性

すでに景気後退しブロック経済の恐れ 雇用情勢も一変の可能性

 転職に関わる代表的な指標としては、厚生労働省が公共職業安定所における求人、求職などの状況をまとめた「有効求人倍率」、総務省が全国約4万世帯を対象に行う労働力調査から明らかになる状況をまとめた「完全失業率」などが挙げられます。これ以外にも、景気判断などの基軸となる指標は数多く発表されています。
 新聞やテレビの報道で毎日のように耳にしたり、目に止まったりするだけに、ビジネスのみならず転職を検討、実行するうえでも注目しておきたい数字。このコラムでは日本経済研究センターの専門家による独自の視点で、統計や指標などで示される様々な数字を、雇用情勢に照らし合わせて読み解いていきます。

 英国では、10月末には何が何でもEU(欧州連合)離脱を掲げるジョンソン首相が誕生しました。合意なきブレグジットの可能性が一段と高まりました。

 米国ではトランプ大統領が9月から3000億ドル分(約32兆円)の中国からの輸入品に10%の追加関税をかけるとの方針を公表しました。すでに2500億ドル分の輸入品には25%の追加関税をかけており、税率は違うものの、すべての対中輸入品に追加関税を課しています。

 7月末に閣僚級の通商交渉を終えたばかりですがで、貿易交渉が進展しないことから中国へさらなる圧力をかけようとしています。習近平政権も簡単に妥協できないでしょうから貿易戦争は益々激化するでしょう。

 またトランプ大統領はフランスが導入したデジタルサービス課税にも報復する姿勢を示しています。米国の巨大IT企業のフランス国内での売上に対する関する課税で、情報サービス貿易への貿易障壁(不当な関税)に当たると主張しているわけです。

 日本も韓国を28日から輸出管理で優遇するホワイト国から外す方針を決めました。日本政府は他のアジア諸国並みに輸出管理を強めただけだと主張していますが、韓国側の反発は強く、日韓関係が一層悪化することは避けられません。年内合意を目指す東アジア地域包括的経済連携協定(RCEP)の交渉は続いていますが、暗い影を落とすでしょう。

 7月のこのコラムでも指摘しましたが、自国第一主義が広がり、それが露骨な保護主義になり、やがてブロック経済化してしまう道を進んでいるのかもしれません。年末には世界の貿易紛争を裁く世界貿易機関(WTO)上級委員会が米国の反対で後任委員を選べず、機能停止になる可能性も高いとされています。

 ブロック経済への道は最悪の場合、戦争へ道につながることは歴史の教訓です。日本経済研究センターが公表している6月の日本の景気後退確率は、景気後退を示す67%を超えました。ここにブロック化が加わると、通常の不景気ではすまない恐れが強くなります。その場合、雇用情勢も完全雇用状態から一変する恐れもあります。

(日本経済研究センター・主任研究員 小林辰男)