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数字を読み解く

2030年代半ば、日本のGDPは世界5位に転落?

2030年代半ば、日本のGDPは世界5位に転落?

 転職に関わる代表的な指標としては、厚生労働省が公共職業安定所における求人、求職などの状況をまとめた「有効求人倍率」、総務省が全国約4万世帯を対象に行う労働力調査から明らかになる状況をまとめた「完全失業率」などが挙げられます。これ以外にも、景気判断などの基軸となる指標は数多く発表されています。
 新聞やテレビの報道で毎日のように耳にしたり、目に止まったりするだけに、ビジネスのみならず転職を検討、実行するうえでも注目しておきたい数字。このコラムでは日本経済研究センターの専門家による独自の視点で、統計や指標などで示される様々な数字を、雇用情勢に照らし合わせて読み解いていきます。

 今回は日本経済研究センターが6月中旬に公表した長期経済予測を紹介したいと思います。

 主要7カ国(米国、英国、ドイツ、スウェーデン、日本、中国、インド)について、今から一世代後の2060年の経済社会について予測しています。日本は人口減少・高齢化の影響が大きいうえ、第4次産業革命の原動力となっている経済社会全体のデジタル化にも遅れが目立ちます。

 その結果、2030年代半ばには、恒常的にマイナス成長に陥り、経済規模(GDP)で人口が13億人から16億人超となるインドとインダストリー4.0を推進し、生産性向上で日本を上回るドイツに抜かれ、世界3位から5位に転落するでしょう。

 回避するには、現在進行中の第4次産業革命に対応し、デジタル化を加速させるための無形資産投資(情報通信や研究開発、ブランド創造などへの投資)を進めると、日本も成長率が0.3ポイント押し上げられ、プラス成長を維持することが可能と予測しています。

 このシナリオを実現するには、デジタルサービス貿易について、プライバシー保護に配慮しつつも、自由なデータ流通を促す仕組み・制度が欠かせません。

 6月末に大阪で開かれたG20サミットでは、世界貿易機関(WTO)で自由なデータ流通の制度を決める大阪トラックの開始で合意しましたが、日米欧が連携をとり、実現に向けた努力が求められます。それが長期間にわたり成長を維持するカギです。

 ただ懸念材料もあります。貿易戦争が激化し、第二次大戦前のように世界が保護主義で覆われ、ブロック経済化するかもしれません。

 6月末の米中首脳会談で通商交渉の再開で合意しましたが、予断は許しません。世界がブロック化すると、世界全体がマイナス成長に陥ります。日本は、成長を外需に依存しており、ブロック化の直撃を受けます。恒常的にマイナス1%後半の経済縮小に見舞われ、恐慌とも言える状況になるでしょう。

 雇用や賃金を心配するレベルの話ではなく、社会全体の混乱が予測されます。ブロック化を回避することは世界の首脳の第一の役割ではないでしょうか。

(日本経済研究センター・主任研究員 小林辰男)