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数字を読み解く

期待したい令和元年 平成元年と同じ兆しも

期待したい令和元年 平成元年と同じ兆しも

 転職に関わる代表的な指標としては、厚生労働省が公共職業安定所における求人、求職などの状況をまとめた「有効求人倍率」、総務省が全国約4万世帯を対象に行う労働力調査から明らかになる状況をまとめた「完全失業率」などが挙げられます。これ以外にも、景気判断などの基軸となる指標は数多く発表されています。
 新聞やテレビの報道で毎日のように耳にしたり、目に止まったりするだけに、ビジネスのみならず転職を検討、実行するうえでも注目しておきたい数字。このコラムでは日本経済研究センターの専門家による独自の視点で、統計や指標などで示される様々な数字を、雇用情勢に照らし合わせて読み解いていきます。

 内閣府が5月に公表した2019年1-3月期の経済成長率は、多くのエコノミストはマイナス成長と予測していましたが、前期比0.5%増とプラス成長でした。

 しかし成長率は1-3月期がピークなると考えています。成長率がプラスになったのは、輸入が大きく減少したからです。個人消費や企業の設備投資といった景気を実感する項目はゼロ近傍のマイナスでした。

 経済成長率(実質GDP成長率)を算出する際に、輸入は控除項目になり、輸入増は経済成長率を押し下げる要因になりますが、その減少は逆に押し上げ効果になります。

 1-3月期は輸入が前期比4.6%減となり、0.9ポイントも成長率が押し上げました。内需は民間在庫と公共投資がわずかに押し上げ要因になったのみでした。

 今の日本は人口減少、高齢化が進み、内需が先細る傾向にあります。内需自体に経済全体をけん引する力はなく、原動力は海外の景況に左右される輸出です。

 だから輸出の減少は、企業の業績を左右し、賃金の減少にもつながります。1-3月期の輸出は前期比2.4%減となり、成長率を0.5ポイントも押し下げています。

 5月には米中の貿易戦争が激化、米国は新たに2000億ドル分の中国製品に25%の追加関税をかけ、中国の通信機器大手ファーウェイへハイテク部品を輸出することを禁じました。6月末にはさらに3000億ドル分の中国製品にも追加関税をかけるとしています。

 一方、中国も米国の液化天然ガス(LNG)やワインに25%の追加関税を課すなど報復合戦の様相を呈してきました。今月末に大阪で開かれるG20サミット時に米中首脳会談があるとみられていますが、簡単に貿易戦争の終結でまとまるとは思えません。

 どうやら令和元年は、バブルがはじけた平成元年同様に、景気後退元年になる恐れが高いそうです。平成のときは、多くの専門家もその後にやってくるバルブ崩壊の影響に気づけませんでしたが、今回は……。

(日本経済研究センター・主任研究員 小林辰男)。

(日本経済研究センター・主任研究員 小林辰男)