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数字を読み解く

米中首脳会談で貿易戦争回避に期待 雇用は売り手が市場続く

米中首脳会談で貿易戦争回避に期待 雇用は売り手が市場続く

 転職に関わる代表的な指標としては、厚生労働省が公共職業安定所における求人、求職などの状況をまとめた「有効求人倍率」、総務省が全国約4万世帯を対象に行う労働力調査から明らかになる状況をまとめた「完全失業率」などが挙げられます。これ以外にも、景気判断などの基軸となる指標は数多く発表されています。
 新聞やテレビの報道で毎日のように耳にしたり、目に止まったりするだけに、ビジネスのみならず転職を検討、実行するうえでも注目しておきたい数字。このコラムでは日本経済研究センターの専門家による独自の視点で、統計や指標などで示される様々な数字を、雇用情勢に照らし合わせて読み解いていきます。

  今回は日本経済研究センターが2月14日に公表した最新の短期経済予測の内容を中心に紹介します。

 18年10-12月期の実質GDP(国内総生産)は、昨年夏に相次いだ自然災害の影響が出た7-9期の前期比▲0.7%(▲はマイナス)から前期比0.3%増とプラス成長に転じました。ただ米中貿易摩擦の行方が不透明で、輸出は中国向けを中心に減速感が強く、実質輸出は前期比0.9%増にとどまりました。7-9月期は同▲1.4%だったので、回復は限定的といえるでしょう。

 景気の先行きについては、プラス成長を維持するものの、18年度が0.6%、19年度が0.8%、20年度は0.7%と力強さに欠ける状況が続くとみています。トランプ政権誕生後の大規模な財政支出で押し上げられていた米国の景気が、徐々に弱まる可能性が高く、米中間で深刻な貿易戦争に至らなくても世界経済は弱含みになる可能性は高いでしょう。

 そうした状況が見込まれるので、日本企業は相変わらず、キャッシュフローの範囲でしか投資はしないでしょう。ため込んだキャッシュを賃上げに回すことにも慎重だと考えられます。

 19年10月に予定される消費税率引き上げ(8%→10%)による経済へのマイナスの影響は、食料品への軽減税率導入や自動車・住宅減税などの消費増税対策により、緩和され、引き上げ前の駆け込みと引き上げ後の大幅な反動減といったことも避けられるのではないでしょうか。

 ただ国・地方の債務残高が名目GDPの2倍近い1000兆円を超えています。短期的なマイナス影響が緩和されても、ツケは後で回ってきます。

 景気への最大のリスクは、米中の貿易摩擦が本格的な貿易戦争に発展するかどうかです。3月下旬には米中首脳会談があるのではないかと期待が高まっています。

 両首脳で貿易戦争が回避できれば、日本が米国と交渉する物品貿易協定(TAG)に向けても好材料です。貿易戦争が回避されれば、景気の停滞は一時的な調整に終わり、雇用は売り手市場の状況が続くでしょう。

(日本経済研究センター・主任研究員 小林辰男)