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数字を読み解く

輸出・インバウンド以外は厳しさが加速

輸出・インバウンド以外は厳しさが加速

 転職に関わる代表的な指標としては、厚生労働省が公共職業安定所における求人、求職などの状況をまとめた「有効求人倍率」、総務省が全国約4万世帯を対象に行う労働力調査から明らかになる状況をまとめた「完全失業率」などが挙げられます。これ以外にも、景気判断などの基軸となる指標は数多く発表されています。
 新聞やテレビの報道で毎日のように耳にしたり、目に止まったりするだけに、ビジネスのみならず転職を検討、実行するうえでも注目しておきたい数字。このコラムでは日本経済研究センターの専門家による独自の視点で、統計や指標などで示される様々な数字を、雇用情勢に照らし合わせて読み解いていきます。

  今回は2018年12月に公表した日本経済研究センターの産業調査を紹介します。

 2030年に向けた日本では、少子高齢化、人口減少が続くため、内需にはほとんど期待できないでしょう。輸出・インバウンド消費といった外需依存が進むとみています。同時にAI(人工知能)やIoTを駆使し、多様なデータをどれだけ有効活用できるか、経済成長や競争力を左右する「データ経済」化が加速するでしょう。

 新興国の発展に伴って、製造業の生産を支える機械産業は輸出が大きく伸びると予測します。例えば産業用ロボットは、2030年には18年の2倍に相当する年間56万台が出荷されると予測していますが、輸出が18年の22万台弱から30年には49万台弱になるでしょう。

 一方、国内向けは5万7000台から7万5000台にしか増えません。消費者向けの製品を製造する産業の生産拠点の海外移転が進むからです。

 例えば自動車ですが、足元の年間1000万台の国内生産から30年には740万台に縮小するとみています。電気自動車の普及や自動運転の進歩、カーシェアリングなどが進むと、さらに減少スピードが加速する恐れもあります。

 鉄鋼も足元では年間1億トンの粗鋼生産を維持していますが、30年には自動車の国内生産の減少に合わせ、9000万トンまで減る可能性が高いと考えています。内需を頼りにモノを販売するビジネスは年を追うごとに厳しさが増すでしょう。

 当面は輸出が期待できる機械産業ですら、機械の販売だけでなくAIやIoTを活用し、販売した機械の保守点検、修理、工場の生産管理まで請け負うビジネスを展開しつつあります。データ経済への移行は競争力維持のカギというわけです。

 インバウンド消費は、2030年までに6300万人と18年から倍増する訪日外国人に支えられ、日本の主力の輸出産業の一つになるでしょう(訪日外国人の日本国内での消費はGDP統計では輸出)。年間消費額は4兆円強から30年には9兆円に達する見通しです。それでも国内の百貨店やスーパーなど実店舗型の小売業はビジネス環境の厳しさが増し、都市と地方の二極化が加速するでしょう。

 インバウンド消費の恩恵にあずかれない地方では、30年までに百貨店の店舗数が足元から4割程度減少しても不思議ではありません。またネット利用に抵抗感がないミレニアル世代の高齢化が進むと、ネット通販へ顧客が流れるアマゾン・エフェクトは加速するでしょう。

 中期的には輸出やインバウンド、データ経済の流れに乗れない産業の雇用環境は徐々に悪化していくことが予見できます。

(日本経済研究センター・主任研究員 小林辰男)

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