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数字を読み解く

外国人労働者の大量受け入れ時代の幕開けへ

外国人労働者の大量受け入れ時代の幕開けへ

 転職に関わる代表的な指標としては、厚生労働省が公共職業安定所における求人、求職などの状況をまとめた「有効求人倍率」、総務省が全国約4万世帯を対象に行う労働力調査から明らかになる状況をまとめた「完全失業率」などが挙げられます。これ以外にも、景気判断などの基軸となる指標は数多く発表されています。
 新聞やテレビの報道で毎日のように耳にしたり、目に止まったりするだけに、ビジネスのみならず転職を検討、実行するうえでも注目しておきたい数字。このコラムでは日本経済研究センターの専門家による独自の視点で、統計や指標などで示される様々な数字を、雇用情勢に照らし合わせて読み解いていきます。

 11月2日に政府は、外国人労働者の大量受け入れ、移民解禁へつながりかねない出入国管理法改正案を閣議決定しました。開会中の臨時国会で成立すると、2019年4月から製造業や農林水産業などで外国人労働者の受け入れが大幅に緩和されることになる見通しです。

 8月のコラムでも書きましたが、恒常的になった人手不足に対応するためには、外国人労働者の受け入れなしでは、不可能との判断があります。読者の経験でも、都会のコンビニエンスストアや居酒屋、ラーメン店などでは、外国人従業員を見かけてもすでに何の違和感もない状況でしょう。日本経済新聞などの調査によると、東京では19人に1人が外国人労働者になっています。

 外国人労働者の大量受け入れへの背景には、急速に進む日本の人口減少・高齢化問題があります。足元の年間の出生数は100万人にも満たない状況です。全員が平均年齢まで生きても8000万人強に収束することは明らかです。

 さらに出生数の低下には歯止めがかかっていません。今世紀終わりには日本の人口は半減すると予測されています。後期高齢者の割合も急速に上昇しており、政府が検討する70歳まで働ける環境ができても、「働けない高齢者」が増えることは確実です。一方で介護に必要な人材は、当センターの予測では2030年までに400万人増やす必要があります。

 足元の統計でも、9月の有効求人倍率は1.64、正社員は同1.14倍と過去最高水準です。介護や建設などは働く人の高齢化が進んでいるうえ、恒常的な人手不足です。女性の就労者が増えても限界があります。すでに20代後半から30歳半ばに出産・子育てによる女性の就業率低下(いわゆるM字カーブ)は解消されつつあり、まもなく欧米並みの就業率になります。

 日本人の中で働けるけれども働いていない人の割合は、小さくなっています。これまでの基準では、単純労働者であった外国人も受け入れないと事業を継続できないという状況が社会全体に広がっています。必ずしも年功序列・終身雇用を欲しない外国人の受け入れが始めると、日本人の雇用・賃金制度は大きく変貌することが予測されます。19年度は雇用賃金制度の変革元年になる可能性が高いでしょう。

(日本経済研究センター・主任研究員 小林辰男)