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数字を読み解く

景気が一本調子で続くかどうか、リスクは小さくない

景気が一本調子で続くかどうか、リスクは小さくない

 転職に関わる代表的な指標としては、厚生労働省が公共職業安定所における求人、求職などの状況をまとめた「有効求人倍率」、総務省が全国約4万世帯を対象に行う労働力調査から明らかになる状況をまとめた「完全失業率」などが挙げられます。これ以外にも、景気判断などの基軸となる指標は数多く発表されています。
 新聞やテレビの報道で毎日のように耳にしたり、目に止まったりするだけに、ビジネスのみならず転職を検討、実行するうえでも注目しておきたい数字。このコラムでは日本経済研究センターの専門家による独自の視点で、統計や指標などで示される様々な数字を、雇用情勢に照らし合わせて読み解いていきます。

 今回は日本経済研究センターが9月10日に公表した短期経済予測の内容を中心に紹介します。17年4-6月期の実質GDP(国内総生産)は、設備投資が好調で前期比0.7%増(年率3.0%増)とプラス成長に転じました。

 しかし今夏の大雨、9月の北海道での地震などを受け、7-9月期は再びマイナス成長に陥る可能性もあり、成長率は6月予測と変更していません。2018年度は1.2%成長、消費税率の引き上げが予定されている19年度は0.9%としています。

 短期予測のメインのシナリオでは穏やかに景気拡大が継続するとしているストーリーは変えていませんが、リスクはより強く指摘し、定量的な分析を加えています。

 リスクの第一は米国の通商政策です。鉄鋼・アルミニウムへの関税引き上げは、米中間で貿易戦争の様相を呈していることは、以前、このコラムでも言及しました。今やカナダ、メキシコといった同盟国と結んでいるNAFTA(北米自由貿易協定)ですら揺さぶっています。

 メキシコが米国の突きつけた自動車関連輸出に関する賃金条項(40-45%の部品は時給16ドル以上の労働者による生産の義務づけ)を飲んだことは驚きです。

 カナダとの交渉は難航していますが、もはや自由貿易協定ではなく、“管理貿易協定”と批判する人もいます。米国が輸入自動車に25%の関税を課した場合、日本国内の自動車生産は8%以上落ち込むと、当センターでは試算しています。

 第二は米国が利上げペースを加速させ、新興国経済へ悪影響を及ぼす恐れが強いことです。外貨準備に乏しい新興国は、米国の利上げが外貨流出に直結する可能性が高いでしょう。トルコやアルゼンチンでは年初から4割以上の通貨安になるなど、危機が懸念されています。

 アジアにも飛火する恐れもあります。例えばインドネシアやフィリピンは通貨安とともに株安にも見舞われています。中国ですら大幅な株安です。

 日本の雇用関連の経済指標は完全雇用を示しており、実質賃金も5、6、7月と3カ月連続でプラスになっています。人手不足がようやく賃金に反映され始めたと考えられますが、景気が、このような一本調子で続くかどうか? リスクは小さくないと思われます。

(日本経済研究センター・主任研究員 小林辰男)