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数字を読み解く

人手不足で移民の受け入れへ

人手不足で移民の受け入れへ

 転職に関わる代表的な指標としては、厚生労働省が公共職業安定所における求人、求職などの状況をまとめた「有効求人倍率」、総務省が全国約4万世帯を対象に行う労働力調査から明らかになる状況をまとめた「完全失業率」などが挙げられます。これ以外にも、景気判断などの基軸となる指標は数多く発表されています。
 新聞やテレビの報道で毎日のように耳にしたり、目に止まったりするだけに、ビジネスのみならず転職を検討、実行するうえでも注目しておきたい数字。このコラムでは日本経済研究センターの専門家による独自の視点で、統計や指標などで示される様々な数字を、雇用情勢に照らし合わせて読み解いていきます。

 政府はこれまで消極的だった「移民」について方針転換したようです。ベトナムから介護人材1万人の受け入れで合意したと日本経済新聞が報道しましたが、さらに来年の通常国会には、建設業や農業、製造業、サービスといった幅広い分野で単純労働者を含む外国人を受け入れる法案を提出するための検討を安倍晋三首相が指示しました。

 6月の有効求人倍率は1.62、正社員は同1.13倍と深刻な人手不足の様相を呈しています。介護や建設などは恒常的な人手不足、労働力の高齢化に見舞われており、中小企業を中心に「外国人なしでは事業が成り立たない」との声を無視できなくなってきたと考えられます。

 最も注目するべき点は、単純労働者として来日しても、その後、日本語や技能試験に合格すれば、国内在留期限がなくなり、家族の帯同も許可することを認めようとしていることだと思います。これまでは高度人材に限定していた受け入れ条件です。

 政府は2018年6月に決めた「経済財政運営と改革の基本方針2018(骨太方針)」で移民政策ではない主張していますが、アジアを中心とした真面目で働く有能な外国人を「移民」として受け入れようとしているようにみえます。

 そもそも日本は人口減少、少子高齢化の加速により、成長力(潜在成長率)が衰退する可能性は極めて高いといえます。日本経済研究センターの予測では人口減・高齢化を放置すると成長力は50年にはマイナスになります。景気が悪いからマイナス成長ではなく、経済が縮小する社会になるわけです。これでは増大する社会保障費負担は不可能です。

 また出生率を人口維持に必要な2.1へ回復するには、今から少子化対策を実施しても効果が表れるには30年以上かかります。しかも毎年GDPの2%以上となる13兆円の少子化対策が追加的に必要です。経済政策として移民の検討は不可避な状況であるわけです。

 優秀な外国人が日本に来ることは経済全体にはプラスですが、転職市場では手強い競争相手の出現につながる可能性も無視できません。

(日本経済研究センター・主任研究員 小林辰男)