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数字を読み解く

18年は転職にはチャンスの年?

18年は転職にはチャンスの年?

 転職に関わる代表的な指標としては、厚生労働省が公共職業安定所における求人、求職などの状況をまとめた「有効求人倍率」、総務省が全国約4万世帯を対象に行う労働力調査から明らかになる状況をまとめた「完全失業率」などが挙げられます。これ以外にも、景気判断などの基軸となる指標は数多く発表されています。
 新聞やテレビの報道で毎日のように耳にしたり、目に止まったりするだけに、ビジネスのみならず転職を検討、実行するうえでも注目しておきたい数字。このコラムでは日本経済研究センターの専門家による独自の視点で、統計や指標などで示される様々な数字を、雇用情勢に照らし合わせて読み解いていきます。

 2017年の年平均の有効求人倍率は1.50倍と過去最高、12月は1.59倍となりました。正社員の有効求人倍率も年平均で0.99倍となり、12月は1.07倍と1を超え、人手不足はより深刻化しています。

 有効求人倍率は8年連続で改善しており、4年連続で1を超えています。失業率も17年は年平均2.8%で、2010年の5.1%から7年連続で改善しています。正規の職員・従業員も17年は56万人増えました。まさに完全雇用を達成しています。

 業種別にみると、卸小売の就業者が12万人増えているほか、学術研究、専門・技術サービス業が9万人増えています。学術などは4年連続の増加です。一方、医療・福祉は3万人増えていますが、2007年以降10~30万人の単位で増えていたことに比べて、17年の増加人数は落ち込んでいます。

 医療・介護分野の人手不足感は、新規求人数の伸びをみても明かなのですが、景気回復にともない、より割りの良い仕事を求める傾向が強くなっているのではないでしょうか。

 人手不足は、18年度中は続くでしょう。17年12月に公表された最新の日銀短観の全産業でみた雇用判断DI(過剰と答えた企業の割合から不足と答えた企業の割合)は-31ポイントと9月調査時点よりも不足感が3ポイント増しています。先行きも人手不足は厳しくなるとみています。中小企業だけでなく、大企業も-13ポイントと9月調査より2ポイント不足感が加速しています。

 安倍晋三首相が先頭に立って経済界に3%の賃上げ実現を要求している背景にも「人手不足で企業がある程度の賃上げは実施せざるを得ないだろう」という読みもあると思います。今年は転職を考えるならチャンスでしょう。

 ただ企業は省力化投資に積極的です。さらに第4次産業革命が進展する中で、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)、ビッグデータをフル活用することで、生産やサービス提供のシステムを根本的に変えようという動きも本格化しています。数年内に機械に置き換えられる職業も確実に存在します。

 自らの専門性は何か? きちんと考えて転職計画を練らないと、転職後に落とし穴が待っているかもしれません。

(日本経済研究センター・主任研究員 小林辰男)