ビジネスパーソンのキャリアアップ・転職について考えるニュース・コラムサイト

数字を読み解く

AI時代もチームワーク重視

AI時代もチームワーク重視

 転職に関わる代表的な指標としては、厚生労働省が公共職業安定所における求人、求職などの状況をまとめた「有効求人倍率」、総務省が全国約4万世帯を対象に行う労働力調査から明らかになる状況をまとめた「完全失業率」などが挙げられます。これ以外にも、景気判断などの基軸となる指標は数多く発表されています。
 新聞やテレビの報道で毎日のように耳にしたり、目に止まったりするだけに、ビジネスのみならず転職を検討、実行するうえでも注目しておきたい数字。このコラムでは日本経済研究センターの専門家による独自の視点で、統計や指標などで示される様々な数字を、雇用情勢に照らし合わせて読み解いていきます。

 日本経済研究センターが5月末にまとめたリポート「第4次産業革命の中の日本~情報は国家なり~」によると、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)の利用が進展しても、日本企業はチームワークができる人材を求めていることが明らかになっています。

 リポートでは東証1部上場など大手有力企業2105社にアンケート調査し、268社が回答しています。チームワーク、語学力、論理的思考力、科学技術・数学力の4つの能力について相対的にどの能力を重視するのか尋ねたところ、論理的思考力は企業のAIやIoTの活用度合いに関わらず、最も重視されましたが、チームワークはそれに続く回答になっています。

 同じ調査でAIやIoTの活用が進むと研究開発やシステム設計などの高度な仕事が増えると考える企業は150社に上りましたが、単純作業ではない高度な作業になればなるほど、人対人のコミュニケーションによる創意工夫といったことが必要と考えているようです。AI、IoTが最も進展している企業群ではチームワークが重要との回答が30%以上となり、進展度合いが中位、下位よりも高くなっています。論理的思考力の35%には劣後しますが、科学技術力の20%強、語学力の10%強よりもはるかに高い数値です(4つの能力の合計値は100%)。

 チームワークなどというと、あまりにありきたりであり、日本企業が得意とする能力です。意外感がありますが、AIなどの利用が進むほど、組織内で新たなチーム作業が必要なのでしょう。語学が相対的に重視されないのは「できて当たり前」あるいは「学ばせれば何とかなる」と考えているのかもしれません。あるいは自動翻訳で将来は不要になるとみている可能性もあります。

 工場作業などを想定したチームワークとは異なるでしょうが、第4次産業革命時代でも日本の強みは生かせる可能性が高そうです。

(日本経済研究センター・主任研究員 小林辰男)