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数字を読み解く

個人消費、多少持ち直し?

個人消費、多少持ち直し?

 転職に関わる代表的な指標としては、厚生労働省が公共職業安定所における求人、求職などの状況をまとめた「有効求人倍率」、総務省が全国約4万世帯を対象に行う労働力調査から明らかになる状況をまとめた「完全失業率」などが挙げられます。これ以外にも、景気判断などの基軸となる指標は数多く発表されています。
 新聞やテレビの報道で毎日のように耳にしたり、目に止まったりするだけに、ビジネスのみならず転職を検討、実行するうえでも注目しておきたい数字。このコラムでは日本経済研究センターの専門家による独自の視点で、統計や指標などで示される様々な数字を、雇用情勢に照らし合わせて読み解いていきます。

 6月は四半期ごとに改訂する日本経済研究センターの短期経済予測を紹介したいと思います。2017年1-3月期の実質GDPは、前期比0.3%増で5期連続のプラス成長でした。当センターの予測も、3月に当コラムでご紹介した前回よりも17年度、18年度とも経済成長率を上方修正しています(17年度は+0.2ポイントの1.4%、18年度が+0.1ポイントの0.9%)。

 日本の短期的な景気を左右するのは外需ですが、なかでも中国の経済状況が改善しているようです。中国の1-3月期の経済成長率は前年比6.9%と国家目標としている6.5%を上回りました。民間投資や輸出が回復しているほか、一時心配された資本流出にストップがかかりました。外貨準備は増加に転じています。

 もちろん加熱する不動産市場や民間債務残高の高止まりなど金融面が抱える構造的な問題については、手つかずと言ってもよい状況のままなので安心はできません。しかし急速に経済が悪化するリスクは遠のいたとみられます。こうした世界経済の回復を受け17年度の日本の輸出は1.9ポイント上方修正し4.8%と予測しています。

 一方、内需ですが、個人消費が多少改善するでしょう。17、18年度ともGDPベースの民間最終消費は1.0%増になるとみています。4月の有効求人倍率は1.48倍でバブル期の1990年7月を上回る水準です。失業率も2.8%と完全雇用状況です。

 不思議なことに社会全体で人手不足が強調される割には、賃金は簡単に上がりそうもないのですが、さすがに雇用者数が増え、一人当たりの消費支出はともかく、社会全体の消費総額は増えると予測しています。設備投資は好調な輸出に支えられ、17年度は2.7%増、18年度も2%増になり、大企業・製造業を中心に投資がある程度活発化すると考えられます。この1~2年の日本経済は小春日和のような状況になる可能性が高いようです。

(日本経済研究センター・主任研究員 小林辰男)