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数字を読み解く

今こそ、開国のチャンス

今こそ、開国のチャンス

 転職に関わる代表的な指標としては、厚生労働省が公共職業安定所における求人、求職などの状況をまとめた「有効求人倍率」、総務省が全国約4万世帯を対象に行う労働力調査から明らかになる状況をまとめた「完全失業率」などが挙げられます。これ以外にも、景気判断などの基軸となる指標は数多く発表されています。
 新聞やテレビの報道で毎日のように耳にしたり、目に止まったりするだけに、ビジネスのみならず転職を検討、実行するうえでも注目しておきたい数字。このコラムでは日本経済研究センターの専門家による独自の視点で、統計や指標などで示される様々な数字を、雇用情勢に照らし合わせて読み解いていきます。

 英国の国民投票で、同国の欧州連合(EU)離脱が現実の問題となりました。本当に離脱した場合、日本への悪影響が実際にどれほどあるのか、未知数ですが、英国民のグローバル化への反発は、今後の日本が経済政策を進める上で考えさせられる内容を含んでいます。今回はグローバル化について考えたいと思います。

 人口減少・高齢化による成長力の低下に苦しむ日本にとって外国人の受け入れ・活用は成長力向上策として避けられません。当センターは政府が掲げる2%成長の実現には、英国並みにヒト・モノ・カネを開放するべきだと提言しています。英国は年間30万人以上の移民を受け入れ、成長力の源泉になっています。またウィンブルドン化といわれる積極的な外資導入で産業も活性化しています。いわば開国政策で大成功している国です。

 しかし成功したゆえに「地域社会の雰囲気が変わっていく」「職業を移民に奪われる」などという反発が特に高齢者層に強かったことは、日本が開国政策を今後、検討する際に最も留意しなくてはならないことでしょう。ただ日本は成長戦略で最も重要といえる移民政策などについては検討すらしていませんが……。

 グローバル化への反発は、米国でも広がっています。大統領選挙の結果を問わず、TPP(環太平洋経済連携協定)を米国が批准できず、発効しない可能性があります。TPPは、日本の成長力押し上げに外国人受け入れ以上に不可欠です。グローバル化の恩恵を最も受ける米国で自由貿易推進に強い反発があることも、開国政策の推進が簡単ではないことを物語っています。

 しかし前回のコラムでも書きましたが、今の日本は不況ではなく、成長力がないことが不況感(所得が増えない)の原因です。5月の有効求人倍率は4月に比べ0.02ポイント上昇し、1.36に達しました。失業率も3.2%と完全雇用状態です。需要不足ではありません。政府・与党が検討中とされる大型の景気対策は問題の解決にはつながりません。英米での反グローバリズムを反面教師にしつつ、今こそ開国を進める絶好の機会ではないでしょうか。

 移民にとって最も魅力的な両国が閉鎖的になっているときこそ、有能な外国人を日本に引きつけるチャンスです。そうした外国人と一緒にマネジメントできる能力が、これからは必要になる可能性が高そうです。

(日本経済研究センター・主任研究員 小林辰男)