新サイトオープンと日経キャリアNETサービス終了のお知らせ
日経の新しい転職サイト「日経転職版」オープンに伴い「日経キャリアNET」は、2021年1月14日(木)をもちまして、サービスを終了させていただくこととなりました。終了までのスケジュール等はこちらをご確認ください。

数字を読み解く

2016年はサービス輸出に期待 設備投資は国内が盛り上がらず

2016年はサービス輸出に期待 設備投資は国内が盛り上がらず

 転職に関わる代表的な指標としては、厚生労働省が公共職業安定所における求人、求職などの状況をまとめた「有効求人倍率」、総務省が全国約4万世帯を対象に行う労働力調査から明らかになる状況をまとめた「完全失業率」などが挙げられます。これ以外にも、景気判断などの基軸となる指標は数多く発表されています。
 新聞やテレビの報道で毎日のように耳にしたり、目に止まったりするだけに、ビジネスのみならず転職を検討、実行するうえでも注目しておきたい数字。このコラムでは日本経済研究センターの専門家による独自の視点で、統計や指標などで示される様々な数字を、雇用情勢に照らし合わせて読み解いていきます。

 今回は11月下旬に日本経済研究センターが公表した第164回短期経済予測に基づいて2016年を展望したいと思います。15年7~9月期の実質GDP(国内総生産)は、前期比-0.2%と2期連続の減少となりましたが、景気の先行きは、回復すれどもペースは緩慢とみています。カギを握るのは輸出、個人消費、設備投資ですが、輸出は7~9月期に増加に転じましたが、中国経済や新興国経済の調整が長引きそうで、けん引役として力不足です。特に中国については7%弱の成長を維持しているという公式のGDP統計に対し、当センターは電力消費量や鉄道貨物輸送量、銀行の中長期貸し出し(いわゆる李克強指数)から「真のGDP」を推計しています。約5%成長にとどまるという試算結果でした。

 ただ財の輸出は期待薄ですが、サービス輸出、特に訪日外国人の「爆買い」は大いに期待できそうです。名目の非居住者国内直接購入(訪日外国人の消費などに相当、輸出に計上される)は7~9月期に前期比12.0%増で2.9兆円(季節調整値、年間レベルに調整されている)に達しています。2015年にも15年度の訪日外国人は2000万人を超え、14年度の1.5倍以上の3兆円を突破する可能性が高いでしょう。16年度は急速な円高にならない限り、訪日外国人はさらに増加し、「爆買い」が継続するとみられます。短期予測では15年度の実質輸出は1.4%増、16年度は3.9%増になるとみています。

 個人消費は「雇用は改善しても、賃金上昇に結びつかない」という状況が改善しない限り、回復は難しそうです。10月の家計調査の実質世帯収入の前年同月比0.9%減でした。有効求人倍率や失業率は完全雇用状況を示していても、賃金には結びつかないという現象は日本だけでなく、米国でもみられます。16年度の個人消費は消費税率引き上げ前の駆け込み需要を見込んでも1.4%増にとどまり、17年度はマイナスになると予測しています。

 最も予測しづらいのが設備投資です。実質GDP同様に足元は2期連続のマイナスです。企業収益は15年度も過去最高になりそうですが、設備投資はさっぱり盛り上がりません。政府は産業界へ国内投資を呼びかけていますが、海外への投資に比べ、内需が見込めない日本への投資に二の足を踏んでいます。人口減少など中長期の要因を解決しないと国内投資の本格回復は難しく、本格的な回復になる前に後退がやってくるというパターンを抜け出せない状況が続くでしょう。
※本文の数字は12月4日時点の情報に基づいています

(日本経済研究センター・主任研究員 小林辰男)