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数字を読み解く

中国経済の成長率低下で影響を受ける、日本経済をけん引する財・サービスの実質輸出

中国経済の成長率低下で影響を受ける、日本経済をけん引する財・サービスの実質輸出

 転職に関わる代表的な指標としては、厚生労働省が公共職業安定所における求人、求職などの状況をまとめた「有効求人倍率」、総務省が全国約4万世帯を対象に行う労働力調査から明らかになる状況をまとめた「完全失業率」などが挙げられます。これ以外にも、景気判断などの基軸となる指標は数多く発表されています。
 新聞やテレビの報道で毎日のように耳にしたり、目に止まったりするだけに、ビジネスのみならず転職を検討、実行するうえでも注目しておきたい数字。このコラムでは日本経済研究センターの専門家による独自の視点で、統計や指標などで示される様々な数字を、雇用情勢に照らし合わせて読み解いていきます。

 今回は8月下旬に公表した日本経済研究センターの短期、中期の経済予測を紹介したいと思います。15年4-6月期の経済成長率は14年4―6月期以来のマイナス(前期比-0.4%)になりました。個人消費の低迷による内需不振、中国経済の減速に伴う輸出減少などが主な要因です。それでも雇用情勢は好調です。賃金は上がらず、1人1人の所得環境の改善は遅れていますが、労働力調査によると7月の正社員は前年同月に比べて29万人増え、失業率は3.3%と完全雇用水準になっています。有効求人倍率も1.21倍(前月比0.02ポイント上昇)と改善が進んでいます。

 短期的な経済見通しですが、中国経済の調整がいつまで続くのかが焦点です。短期予測では中国の足元の経済成長率を公式発表の7%ではなく、5%台と推計しています。株価の急落を受け、矢継ぎ早に金融緩和策が打ち出されており、中国発の大きなショックは起こらないと予測していますが、それでも成長率は徐々に低下するとみています。中国の低迷などによって15年度の日本の財・サービスの実質輸出は0.9%増にとどまり、内需だけでなく外需も日本経済をけん引できないでしょう。経済成長率は1.1%と予測していますが、14年度のマイナス成長を考えると、順調な回復とは言いにくいです。

 中期的には、日本自身が大きな問題をはらんでいます。2020年度以降に人口減少・高齢化の進行、生産性の低下によって日本経済は2030年度までに恒常的にゼロないしはマイナス成長に陥る恐れがあります。労働力人口の平均年齢は50歳近くまで上昇し、生産性の低下要因になるうえ、人口減少に伴って内需も縮小することが避けられないからです。「経済全体の成長率が落ちても1人当たりの成長率がプラスを維持すれば問題ない」との見方もありますが、日本はばく大な財政赤字を抱えており、成長が止まれば財政破綻か、増税によって生活水準を低下させても破綻を免れるか、選択を突きつけられるでしょう。15年先まで就職先の会社が持続するかどうか、転職の際に考える必要もありそうです。

(日本経済研究センター・主任研究員 小林辰男)