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数字を読み解く

景況感など様々な数字に見え隠れする大企業と中小企業の差

景況感など様々な数字に見え隠れする大企業と中小企業の差

 転職に関わる代表的な指標としては、厚生労働省が公共職業安定所における求人、求職などの状況をまとめた「有効求人倍率」、総務省が全国約4万世帯を対象に行う労働力調査から明らかになる状況をまとめた「完全失業率」などが挙げられます。これ以外にも、景気判断などの基軸となる指標は数多く発表されています。
 新聞やテレビの報道で毎日のように耳にしたり、目に止まったりするだけに、ビジネスのみならず転職を検討、実行するうえでも注目しておきたい数字。このコラムでは日本経済研究センターの専門家による独自の視点で、統計や指標などで示される様々な数字を、雇用情勢に照らし合わせて読み解いていきます。

 2015年度に入り、景気は微妙な時期を迎えているようです。5月の鉱工業生産は前月比2.2%減、同出荷も1.9%減でした。自動車産業が5.4%減、電子部品・デバイスが同4.3%減、電気機械が2.2%減、機械が1.4%減と主力産業が軒並み減少しています。特に自動車は円安にもかかわらず、生産は一進一退の状況が続いています。日本の輸出数量がなかなか増加しないことも裏づけられます。

 また毎月勤労統計の実質賃金は4月に引き続き、5月も前年同月比0.1%減でした。消費者物価は前年同月比で0.5%の上昇にとどまっていても、所定内賃金の伸び悩みによって名目賃金が上がらないために実質賃金がマイナスになる状況が続いているわけです。ただ事業所規模が30人以上のところでは実質賃金は+0.6になっています。規模の大きいところは増加に転じている可能性はあります。

 こうした大企業と中小企業の差は景況感にも表れています。7月1日に公表された日銀短観の業況判断指数(DI)の違いにも表れています。例えば大企業は3月調査時点から3ポイント増加し19(景気が良いと答えた企業の割合-景気が悪いと答えた企業の割合)となり、大企業は消費増税前の水準をほぼ回復しています。

 しかし中小企業ではDIが2で3月時点と横ばいです。3カ月後の予測は1ポイントの悪化とみています。日本経済研究センターの最新予測では15年4―6月期の経済成長率は前期比年率0.6%(1-3月期の実績は同3.9%)と大きく減速すると予測していますが、8月に公表される実績は、これを下回る可能性もあります。

 それでも雇用面は絶好調です。5月の有効求人倍率は1.19倍、正社員も0.75倍と高水準です。失業率も3.3%と完全雇用の状況です。2016年4月の新卒採用も完全な売り手市場になっています。しかし前回も書きましたが、「されど賃金はなかなか上がらない」という状況は、足元の景気減速感を反映し、しばらく続くかもしれません。

(日本経済研究センター・主任研究員 小林辰男)