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数字を読み解く

景況判断DIはプラスを維持転職市場は売り手市場に変化

景況判断DIはプラスを維持転職市場は売り手市場に変化

 転職に関わる代表的な指標としては、厚生労働省が公共職業安定所における求人、求職などの状況をまとめた「有効求人倍率」、総務省が全国約4万世帯を対象に行う労働力調査から明らかになる状況をまとめた「完全失業率」などが挙げられます。これ以外にも、景気判断などの基軸となる指標は数多く発表されています。
 新聞やテレビの報道で毎日のように耳にしたり、目に止まったりするだけに、ビジネスのみならず転職を検討、実行するうえでも注目しておきたい数字。このコラムでは日本経済研究センターの専門家による独自の視点で、統計や指標などで示される様々な数字を、雇用情勢に照らし合わせて読み解いていきます。

 日経平均株価が2万円に迫るなど日本経済も久しぶりに桜同様に満開を謳歌しつつあるようです。
 4月1日に公表された日銀短観(2015年3月調査)の業況判断DI(「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いたもの)は、大企業製造業だけでなく、中小企業も製造業、非製造業ともプラスを維持しました。

 14年12月調査時点の先行き見通しでは中小企業の業況判断DIはどちらもマイナスになるとみていました。景気を慎重にみる中小ですから同DIは厳しめの見通しになる傾向がありますが、先行きでも「良い」と「悪い」が拮抗しています。もちろん大企業は「良い」が大きく上回っています。

 こうした景気見通しは雇用判断DI(「過剰」-「不足」)にも表れています。短観では過剰感が強かった大企業・製造業もマイナスになり、不足感が出てきました。先行き見通しも不足が続くとなっています。すでに自動車や電機といった主要産業でベアが実施されるなど賃金面に反映されています。

 また日本経済新聞の調査によると2016年春の大学卒採用は、15年春の実績見込みに比べて14%増、高専・専門学校などの理工系では3割近い増加が見込まれています。新卒の獲得競争という状況です。15年2月の正社員の有効求人倍率も、1月に引き続き、0.70となり、高い水準を維持しています。転職市場も売り手市場に変化しているようです。

 短観では為替レートを1ドル111~112円と現在の水準よりも円高になると企業は想定しています。それでも安倍政権誕生前の80円台からみれば大幅な円安。しかも原油安という要素も現在では加わり、日本企業は国内回帰を今後本格化させようとしている表れかもしれません。
 ただ好景気に沸き、日本の経済ファンダメンタルスが好転すると、過去の例から考えると、円高に振れる可能性もあります。限定的な国内回帰とみるのが無難ではないでしょうか。

(日本経済研究センター・主任研究員 小林辰男)