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数字を読み解く

労働者派遣法の改正案成否次第で、労働市場ががらりと変わる可能性も

労働者派遣法の改正案成否次第で、労働市場ががらりと変わる可能性も

 転職に関わる代表的な指標としては、厚生労働省が公共職業安定所における求人、求職などの状況をまとめた「有効求人倍率」、総務省が全国約4万世帯を対象に行う労働力調査から明らかになる状況をまとめた「完全失業率」などが挙げられます。これ以外にも、景気判断などの基軸となる指標は数多く発表されています。
 新聞やテレビの報道で毎日のように耳にしたり、目に止まったりするだけに、ビジネスのみならず転職を検討、実行するうえでも注目しておきたい数字。このコラムでは日本経済研究センターの専門家による独自の視点で、統計や指標などで示される様々な数字を、雇用情勢に照らし合わせて読み解いていきます。

 第3回でも指摘しましたが、原油安はやはり日本経済への「恵みの大雨」になりつつあります。1月26日に公表された貿易統計によると2014年の貿易赤字は12兆7813億円でしたが、14年12月単月では6607億円の赤字で、前年同月比49.5%減少しました。原油安による化石燃料輸入金額の減少に加え、輸出が同12.9%増となり、増加基調が明確になったことが主な要因です。

 原油価格が1バレル当たり50ー60ドル、為替が1ドル115ー120円で推移すると、2015年度には貿易赤字は解消、黒字転換する可能性もあります。化石燃料の大きな価格低下によってエネルギーコストの上昇というリスク要因が小さくなったことで、製造業の一部は国内回帰を進め始めています。原油安は他の資源安にもつながり、円安下でも交易条件(輸入物価に対する輸出物価の比率)が改善し始めているからです。

 15年度の経済成長率は、米国の景気が大きく落ち込まない限り、輸出増が継続し、政府見込みの1.5%を上回り、2%成長も夢ではないでしょう。

 国内回帰を示唆するように足元の鉱工業生産指数は前月比1%増(12月)でしたが、15年1月の製造業の生産予測は6.3%と大幅増になっています。11月の正社員の有効求人倍率はついに0.7を超えました。正社員採用に慎重な日本企業も、円安・原油安が定着すると考え、少しは正社員を増やしてもいいと思い始めたのかもしれません。

 ただ、今の国会で労働者派遣法の改正案が成立すると、成果に基づいて報酬を支払う「ホワイトカラー・エグゼンプション」が日本でも導入されます。「正社員=いわゆるサラリーマン」との概念が大きく変わる第一歩になると予測されます。終身雇用・年功序列が崩れ、日本にも真の意味で労働市場が誕生する年になる可能性もあります。

 欧米先進諸国のように「正社員でも職種・地位が変わらなければ、まったく給与が増えない」という状況になり、普通の人々が普通に転職を考え、経験する社会へ日本が変化するかもしれません。

(日本経済研究センター・主任研究員 小林辰男)