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数字を読み解く

原油安が大きな恵みとなり2015年の日本経済はプラス材料多く

原油安が大きな恵みとなり2015年の日本経済はプラス材料多く

 転職に関わる代表的な指標としては、厚生労働省が公共職業安定所における求人、求職などの状況をまとめた「有効求人倍率」、総務省が全国約4万世帯を対象に行う労働力調査から明らかになる状況をまとめた「完全失業率」などが挙げられます。これ以外にも、景気判断などの基軸となる指標は数多く発表されています。
 新聞やテレビの報道で毎日のように耳にしたり、目に止まったりするだけに、ビジネスのみならず転職を検討、実行するうえでも注目しておきたい数字。このコラムでは日本経済研究センターの専門家による独自の視点で、統計や指標などで示される様々な数字を、雇用情勢に照らし合わせて読み解いていきます。

 景気は昨年末から底打ち、2015年は回復基調に入るでしょう。何と言っても大幅な原油安は、日本経済への大きな恵みです。15年4月以降に予定される法人税減税は2年間で4000億円強と報じられていますが、原油が1バレル60ドル程度で推移すると交易条件の改善によって10倍以上の5兆円以上が1年間で還元されます。法人税の20倍以上の効果です。

 エネルギー価格の高騰を問題視していた産業は大きなコスト削減につながります。消費税率の3%引き上げによって14年度の個人消費は冷え込みましたが、原油値下がりの効果で今後は影響が緩和され、賃上げ分は、そのまま実質所得の上昇につながる環境が整いつつあります。原油安だけでGDPを1%押し上げます。14年に比べ15年の日本経済はプラス材料が多い年になるとでしょう。

 昨年12月に公表された日銀短観の雇用判断DI(「過剰」ー「不足」)をみると、人手不足感が継続すると各企業は答えています。大企業は3月までの予測で▲9(▲はマイナス)と現状と同じですが、中小企業は▲21と3ポイント不足状態が進行するとみています。在庫判断DIや設備判断DIは、過剰気味あるいは過不足がないとしていますが、経済の先行きを考えて人手の確保が重要と行動していることを反映しています。

 昨年11月の有効求人倍率も1.12倍と高水準が続いており、雇用情勢は売り手市場が続くと思われます。ただ正社員の有効求人倍率は0.7倍の壁を11月も超えられませんでした。企業は依然として正社員を簡単に増やそうとはしていません。

 そもそも「正社員=雇用期限なしの採用」という高度成長期に確立した雇用慣行自体が、日本再興を掲げるアベノミクス・第3の矢の改革対象かもしれません。高度成長なしに正社員を中心とした終身雇用制度は維持できませんから……。

(日本経済研究センター・主任研究員 小林辰男)