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数字を読み解く

企業業績は絶好調ながら濃淡あり 円安定着で製造業の雇用増に期待

企業業績は絶好調ながら濃淡あり 円安定着で製造業の雇用増に期待

 転職に関わる代表的な指標としては、厚生労働省が公共職業安定所における求人、求職などの状況をまとめた「有効求人倍率」、総務省が全国約4万世帯を対象に行う労働力調査から明らかになる状況をまとめた「完全失業率」などが挙げられます。これ以外にも、景気判断などの基軸となる指標は数多く発表されています。
 新聞やテレビの報道で毎日のように耳にしたり、目に止まったりするだけに、ビジネスのみならず転職を検討、実行するうえでも注目しておきたい数字。このコラムでは日本経済研究センターの専門家による独自の視点で、統計や指標などで示される様々な数字を、雇用情勢に照らし合わせて読み解いていきます。

 消費税率の10%への引き上げは見送りになりました。7ー9月期の国内総生産(GDP)の成長率は2期連続のマイナス成長に陥ったからですが、法人企業統計を見るとちょっと違う景色が現れてきます。全産業の企業収益は前年同期比7.6%増、比較となる13年7ー9月期は24.1%増だったため、企業業績は絶好調とも言える結果です。特に製造業は19.2%増と円安のメリットを十二分に享受しているようです。第1回でも触れましたが、輸出量を増やさなくても円安差益をため込んでいるのです。

 ただ濃淡はあります。製造業でも食料品産業は▲23.5%(▲はマイナス)です。非製造業では卸小売業も▲14.7%、リース業も▲11.0%です。内需型の産業は円安のデメリット、すなわち原材料高などコスト高を最終製品やサービスの価格へ転嫁できない状況に陥っているようです。

 これは求人の数値にも反映されつつあります。10月の有効求人倍率は1.10倍で高い水準を維持していますが、新規求人数(新規学卒者を除く)を見ると食品は前年同月比▲2.1%と減っています。卸小売業は同2.0%増ですが、4ー9月の平均は4.8 %増のため伸びは減少傾向にあると言えそうです。リース業の求人は不動産業と一緒のカテゴリーになっているうえに変動が激しく、傾向は見えにくいのですが、4月に9.7%増を記録してから10月の2.7%増まで下がる傾向に思えます。

 円安の定着にともない、製造業の一部では国内回帰を探る動きもあり、雇用増が期待できそうですが、内需型産業では今後、雇用戦線の変調が表面化する可能性があります。また非正規を中心とした求人が続きそうな気配です。
※数字は2014年12月1日時点での公表資料による

(日本経済研究センター・主任研究員 小林辰男)