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社会人の「飲み会」、どう付き合う?【イベントレポート】

社会人の「飲み会」、どう付き合う?【イベントレポート】

社会人の「飲み会」、どう付き合う?【イベントレポート】

 就職して社会に出たら、避けては通れないのが「飲み会」。学生時代に友人同士でワイワイ飲むのとは違い、上司や同僚、取引先など年齢や立場を超えたさまざまな人との関係づくりの場となっています。
 一方、「飲めない体質なのに付き合うのが辛い」「上司の説教ばかり聞かされる」など、本音を言うと行きたくない……という社会人も少なくない様子。この「飲み会」のあり方について考えるユニークなイベントを取材してきました。

※本記事は「日経HR Labo」(2016年7月5日掲載)より転載しました。

#飲み会やめる を考える

 イベントは6月10日、東京都内でネットメディア「ハフィントンポスト日本版」が主催しました。5月にSNS上のハッシュタグ「#飲み会やめる」で意見を募集したところ反響が集まり、リアルのイベントにまで発展。約30人が参加し「飲み会」について意見を交わしました。
 メーンのパネルディスカッションで登壇したのは以下の4人。

<敬称略 ※肩書などは当時のもの>

伊藤 伸 構想日本 統括ディレクター
衆議院議員秘書、参議院議員秘書を経て、2005年4月より構想日本政策スタッフ。08年7月より政策担当ディレクター。任期付きの常勤国家公務員として内閣府で行政改革などに携わった後、13年に構想日本に帰任(統括ディレクター)。法政大学非常勤講師(NPO論)。
大塚万紀子 株式会社ワーク・ライフバランス パートナーコンサルタント
創業メンバー・パートナーコンサルタント。金沢工業大学大学院客員教授。各クライアント企業に対し現場の実情に合うコンサルティングを提供、労働時間を削減しながら売上・利益を上げるなどの成果を出している。2児の母。
正能茉優 株式会社ハピキラFACTORY ファウンダー&プロデューサー
慶應義塾大学に在学していた2013年、地方にある魅力的な商材を女子向けにプロデュースする会社、ハピキラFACTORYを創業。大学卒業後は、広告代理店でプランナーの卵として働きながら、ハピキラFACTORYでも活動中。
山本裕介 グーグル株式会社 ブランドマーケティングマネージャー 
大手広告代理店を経て、2011年グーグル入社。国政選挙でのインターネット活用、テクノロジーによる女性活躍を推進するWomen Willなどのマーケティングを担当。夫婦で青山の飲食店を経営した経験も。2児の父。
司会:竹下隆一郎 ハフィントンポスト日本版編集長 

「飲み会なし」でも仕事って回るの?

――「#飲み会やめる」は議論のきっかけ。ここでは飲み会の「是非」を問うというより、働き方や時間の使い方のヒントを交換する場にできればと考えています。登壇者の皆さんは、飲み会とどのように付き合っていますか。

正能 広告代理店に勤めていることもあり、先輩と、友人と、毎日めっちゃ飲んでます(笑)。学生時代を振り返ってみても、普通の女子大生だった私が会社を立ち上げ、物事を前に進めていくためには、お酒を通して出会う人々がすごく大切でした。

 起業当初はオフィシャルなルートで仕事の話を持ち掛けていましたが、取り合ってもらえないことが多くて。決定権を持つ立場の人と飲み会で知り合って思いを伝えられたら、話は早いですよね。ということで、飲み会がなかったら今の自分はない、と思っています。

山本 僕も広告代理店で働いていた頃は「飲むこと」が仕事の一部でした。ただ、今勤めているグーグルでは、まるっきり生活が違います。飲み会……3~4カ月に1回程度でしょうか。みんな基本的にはプライベートを重視して、早く帰ります。社内には、社員同士が交流しやすいカフェやミニキッチンがあるので、飲み会の「親睦を深める」機能の一部は、そういうところでリプレイスできているような気がします。

大塚 弊社は基本的に残業禁止なので、毎日がタイムトライアルなんです。9時半から18時までの実働7.5時間でいかに生産性を上げるか、ということを追求しています。お客様の期待に応えるためには脇目もふらずに仕事をしなければいけませんから、コミュニケーション機会の創出は会社としての課題でもあります。

 今は月に1回、会社の費用で飲み会を開いています。参加は自由。そしてこのほど開いた経営会議で、開始時間を17時頃に前倒しすることに決めました。これまでは子育てなどをしている社員が参加しにくいこともあったのですが、早めに始めれば飲み会に参加しても保育園のお迎えに間に合う。「飲み会に出るのか、保育園に行くのか」といった二者択一にならない仕組みにチャレンジしているところです。

伊藤 私はシンクタンクで政策提言に携わっていますが、基本的に社員同士のコミュニケーションは昼間に取る、という文化があります。みんなでお弁当を買ってきて、輪になってランチをする習慣が10年ほど続いています。夜の飲み会は、外部の人とのコミュニケーションの場として設けることが多いですね。飲み会が好きなので、やるなら最大限面白くしたいんですよ。そのために「誰と飲みたいか、何を話したいか」を考える。結果としてそれが仕事に結び付くこともあるわけです。

手段は「飲み会」だけじゃない

――プライベートな関係が仕事につながったり、逆に仕事上付き合っていた相手と友達になれたりするのは面白いですよね。でもプライベートと仕事の境目が付きにくいからこそ、面倒な部分もある。そのバランスはどう取っていますか?

正能 相手に感情を100%費やす時間になる、という意味では、仕事関係の飲み会って「感情労働」だと思うんですよ。だから「自分が気持ちよくいられるのはここまで」というのをしっかり見極めることが大切です。感情労働がトゥーマッチになっていると感じたら、頻度を調整したり、飲み会を早めに切り上げて友人に会ったり、というふうにしてリフレッシュします。

大塚 「自分が耐えられる限度を知る」というのは私もとても大事だと思います。苦痛に感じてしまう飲み会というのは、例えば上司が時間もお店も決めて、有無を言わさぬ雰囲気で「付き合え」という――そんなイメージではないでしょうか。「あまりお酒が飲めないので二次会はカフェで」「この時間以降は疲れてしまうので帰りたい」といったように、お互いが希望を言い合える環境で調整していけたらいいと思います。

――グーグルは外資系ですが、「飲み会」という言葉自体、あるんですか?

山本 飲み会というより「ディナー」ですね。食事に行ってお酒も飲む、という意味では似たようなものかもしれないですが、日本でも「ごはん行こう」と「飲み会行こう」はニュアンスが違いますよね。夕方に軽く1杯飲みながら話す「ハッピーアワー」や、社内のカフェを使った情報共有も活発なので、結果として飲み会は少なくなっています。

――飲み会を「やめる」というアイデアについては、どう思いますか?

正能 これまで社内外の交流や情報共有は飲み会で、というケースが多かったと思いますが、最近は飲み会をやめて「ランチ会」をしようという提案も増えている印象があります。「より効率のいい方法があるなら試したい」と考えている人は意外に多いのかもしれません。

大塚 私は飲み会の楽しい雰囲気は大好きですが、例えば「愚痴を言いたいだけなのかな」などと予想できるお誘いについては、慎重に考えることが多くなりました。断る場合は、関係性を壊さないような配慮が必要でしょうね。「今日は予定があるから、後日に設定できる?」とか「この日にランチはどう?」とか、相手の気持ちも考えた代替案を示すのがいいと思います。

山本 飲み会はお互いを知るための有効な手段ですが、そこで仕事の根回しなどが行われてしまうと、子育て中の社員など参加できない人は肩身の狭い気持ちになる。組織としての一体感を高める意味では、不完全な部分もあります。どう補完していくかを考えていくことは必要ですよね。

 プライベートの予定をクラウドで共有するなど、テクノロジーを活用して相互理解につなげる方法もあります。また、グーグルでは働き方を変えるアイデアを集める「Women Will」というプロジェクトを進めていますが、ここにも飲み会の代替案はたくさん寄せられています。

伊藤 地域差もありますね。私は役所との仕事が多く、地方出張をよくしますが、特に九州では仕事と飲み会は常にセットという印象です(笑)。一方で首都圏だと「飲み会なし」という場合も多いので、皆さんがおっしゃったようにコミュニケーションのあり方に多様性が出てきているような実感があります。

――「やめる」を考えることで、コミュニケーションや働き方の新しいアイデアが生まれてくる、そんなディスカッションになりました。ありがとうございました。

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