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第19回 ほう・れん・そう編 メタ言語を活用せよ

第19回 ほう・れん・そう編 メタ言語を活用せよ

プロフィール
山田敏弘(やまだ・としひろ)岐阜大学教育学部シニア教授(専門:日本語学・方言学)
1965年岐阜県生まれ。名古屋大学卒。名古屋大学大学院博士課程前期課程修了。大阪大学大学院博士課程前期課程を経て博士取得(文学)。国際交流基金派遣日本語教育専門家としてローマ日本文化会館で勤務経験を持つ。著書は「国語を教える文法の底力」「国語教師が知っておきたい日本語文法」(くろしお出版)、「日本語のしくみ」(白水社)、「日本語のベネファクティブ」(明治書院)、「その一言が余計です。」(ちくま新書)、「あの歌詞は、なぜ心に残るのか」(祥伝社新書)など。

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■営業の山田が上司に送信したメール
午前10時、N社を訪問。新企画の打ち合わせを行いました。
取材先の再検討を要求されました。

 ビジネスにおける「ホウレンソウ」とは、言うまでもなく「報告・連絡・相談」の略語です。最近では「ホウレンソウ」はいらないという企業も出てきていますが、すべて不要というわけではありません。「今、○○駅です」のような居場所確認は不要でも、取引先とのやりとりや作業の進捗状況を共有したりすることは必要です。

 情報の要不要を判断する際に活用したいのがメタ言語です。メタは「一段上位の段階」などの意味をもつギリシャ語で、メタ言語とは、言語を言語で説明するための一段上の言語という意味です。

例えば最初のメールの文章は「○日午前のN社訪問に関する山田から上司への内容報告」と言語化されます。平たく言えば「どのような言語活動を行った(行う)かを」を表す言葉がメタ言語ということです。厳密な定義はおきますが、発した(発するつもりの)言葉を他の言葉で説明するメタ言語という考えは有用です。

 ビジネスパーソンに限らず、人は日々、メタ言語活動を行っています。メタ言語化によって、これから行うべきことや行ったことが整理されていきます。しかし、メタ言語を活用する利点はそれだけではありません。

 上のメールの内容をメタ言語化してみましょう。訪問対象、訪問時間、要件、課題とでも整理されるでしょうか。これを報告の鉄則である5W1Hと照らし合わせてみます。そうすると「どのように」は不要としても、「誰」が抜けていることに気付きます。相手の担当者は不要の場合もありますが、ここではやはり責任を明確にするために担当者名を報告しておきましょう。

 また、要件の内容である「何」も、このような報告で十分か考えてみる必要があります。「新企画」の予算や日程はどうだったのかを、やはりメタ的に捉えて報告内容に盛り込むべきではないでしょうか。

 このようにメタ言語化という作業は、報告をはじめ様々なビジネスシーンで自分が行った言語活動を適切に振り返るために有用です。このメタ言語という考え方を用いて自らの言動を俯瞰しましょう。

自らの言語活動を省察しメタ言語化することは、
包括的に捉え、欠けている部分に気づく秘訣となる。