ビジネスパーソンのキャリアアップ・転職について考えるニュース・コラムサイト

ビジネスで役立つ!ことばのお作法

第15回 会議編 話し方の順序を変えてみる

第15回 会議編 話し方の順序を変えてみる

プロフィール
山田敏弘(やまだ・としひろ)岐阜大学教育学部シニア教授(専門:日本語学・方言学)
1965年岐阜県生まれ。名古屋大学卒。名古屋大学大学院博士課程前期課程修了。大阪大学大学院博士課程前期課程を経て博士取得(文学)。国際交流基金派遣日本語教育専門家としてローマ日本文化会館で勤務経験を持つ。著書は「国語を教える文法の底力」「国語教師が知っておきたい日本語文法」(くろしお出版)、「日本語のしくみ」(白水社)、「日本語のベネファクティブ」(明治書院)、「その一言が余計です。」(ちくま新書)、「あの歌詞は、なぜ心に残るのか」(祥伝社新書)など。

事例 アイコン

PREP法:
結論(Point)→理由(Reason)→具体例(Example)→
結論(Point)

DESC法:
描写(Describe)→意見表明(Express)→
提案(Suggest)→選択(Choose)

円滑な司会進行のポイントその2

 前回で触れた1つ目のポイントは文末表現にありましたが、2つ目のポイントは話し方の順序にあります。日本語は理由を述べてから結論を述べることの多い言語です。そのため、外国人には「それで結局、何が言いたいの?」と思わせることが、しばしば起こるのです。

<例文>
 この計画は中止です。なぜなら、予算限度を超えているにも関わらず、見合う成果が得られていないからです。総予算50万円のところ、いまだ予備調査終了の報告もありません。したがって、この計画は中止にします。

 上記の例文のように、結論(Point)を先に述べ、次に理由(Reason)、さらに具体例(Example)、そして再度、結論(Point)を述べるPREP法は、いわゆる欧米型談話法で、日本でもプレゼンのほか議事進行で有効です。

 しかし、PREP法は日本人になじまないと感じる人もいます。そういうときはDESC法を用いてみましょう。「意見もだいぶ出たようですね」と現状を描写(Describe)し、そこに共感しつつ意見表明(Express)する言葉、たとえば「皆さんお忙しいなか、集まっていただいていますので、私は今日、計画の方向性だけでも共通理解を得たいと思います」などと投げかけます。

 ここでは、自分を主語にした文でへりくだることが大切です。共感を得た上で「どうでしょうか。予備調査だけでも今週中に終わらせませんか」と具体的な提案をし(Suggest)、了解が得られれば「その結果を見て、続行か中止かを判断します」、得られなければ「もう一週間だけ待ちましょう」などと、参加者の意見を尊重しつつ、議事進行役が今後の対応を選択(Choose)するのです。

 DESC法は日本型の情が介在する会議でよく見られる方法です。議事進行役は自らの選択肢に幅を持ち、場の共感を得つつ、対立意見のより高次での妥協点を探ります。

 より多くの参加者の意見を聞き、コンセンサスを得つつも前に進むのが会議です。どちらの方法も一長一短がありますので臨機応変に用いましょう。

より多くの参加者の意見を拾い上げるためにも、話し方の順序における一長一短を見いだし、臨機応変に。