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第14回 会議編 文末表現に気をつける

第14回 会議編 文末表現に気をつける

プロフィール
山田敏弘(やまだ・としひろ)岐阜大学教育学部シニア教授(専門:日本語学・方言学)
1965年岐阜県生まれ。名古屋大学卒。名古屋大学大学院博士課程前期課程修了。大阪大学大学院博士課程前期課程を経て博士取得(文学)。国際交流基金派遣日本語教育専門家としてローマ日本文化会館で勤務経験を持つ。著書は「国語を教える文法の底力」「国語教師が知っておきたい日本語文法」(くろしお出版)、「日本語のしくみ」(白水社)、「日本語のベネファクティブ」(明治書院)、「その一言が余計です。」(ちくま新書)、「あの歌詞は、なぜ心に残るのか」(祥伝社新書)など。

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文末表現の分類

  • 判断:
    断定や推量など、できごとに対する話し手の捉え方を表す
  • もくろみ:
    意志や予定など、話し手のしようとしていることを表す
  • 評価:
    義務や許可・許容など、できごとに対して話し手がどう関わろうかを表す
  • 働きかけ:
    命令や依頼など、聞き手に対する動作要求を表す
  • 終助詞:
    伝達、疑問、確認など、聞き手に対する投げかけ方を表す

円滑な司会進行のポイントその1

 日本語では、さまざまな文末表現を使い分けます。文末表現は聞き手とのコミュニケーションの最前線。これらの表現の特性を俯瞰(ふかん)しつつ、使い分けてみましょう。今回は、とりわけ司会者にとって有用な議事進行で役立つ文末表現を2つ紹介します。

 1つ目は、断定表現です。
 会議を始める際には「定刻となりました。会議を始めます」などと、はっきりと告げましょう。「始めさせていただきます」では許可を得ていることになります。参加者にこびへつらった態度では、司会の重要性は感じられません。必要以上にへりくだることを戒め、明確に宣言しましょう。
 議事進行は明確な言葉で進めます。「議事1は○○のように決しました。次に議事2に進みます」というように、断定表現で区切りをはっきり付けることが重要なのです。

 2つ目は、終助詞です。
 会議で種々の意見が出てまとまらないようなときには、終助詞の「ね」を使って論点を整理していきます。終助詞は主に文末に使い、話し手から聞き手への伝達にともなう態度を表わす言葉です。
 中でも「ね」は確認したり、同意、共感を求めたりする場合に使用します。「Aさんの意見は□□ということですね。一方、Bさんは△△という意見ですね」というように当事者に確認するのがポイント。その際は、平易な上位概念を表す言葉でまとめることを心がけましょう。

 そうはいっても、それぞれの意見をいかに簡潔にまとめあげるか、頭を悩ますことも多いのではないでしょうか。例えば「値段がちょっと折り合わない」という意見は「価格が問題」とまとめ、「それまでに納品してもらえるかなあ」という不安は「納期の確認が必要」と、端的な言葉で言い換えるのが肝要です。

 ただ、言葉を瞬時に選び、どのように言い換えるかにコツはありません。司会の能力は日ごろから養った国語の力が必要不可欠でもあります。司会のみならず、面接の受け答えや職務経歴書の書き方などにも共通する要素でもありますので、日ごろから語彙力を養う意識を高く持ちましょう。

 もちろん、司会に必要なのは文末表現や語彙力だけではなく、話し方の順序も重要なポイントです。次回は、この談話構成に触れていきます。

議事進行で大切なのは、適切な文末表現と国語の力であると肝に銘じましょう。