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第12回 会議編 円滑進行の決め手は冒頭

第12回 会議編 円滑進行の決め手は冒頭

プロフィール
山田敏弘(やまだ・としひろ)岐阜大学教育学部シニア教授(専門:日本語学・方言学)
1965年岐阜県生まれ。名古屋大学卒。名古屋大学大学院博士課程前期課程修了。大阪大学大学院博士課程前期課程を経て博士取得(文学)。国際交流基金派遣日本語教育専門家としてローマ日本文化会館で勤務経験を持つ。著書は「国語を教える文法の底力」「国語教師が知っておきたい日本語文法」(くろしお出版)、「日本語のしくみ」(白水社)、「日本語のベネファクティブ」(明治書院)、「その一言が余計です。」(ちくま新書)、「あの歌詞は、なぜ心に残るのか」(祥伝社新書)など。

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「本日の会議のテーマは○○○○○、時間は○○分ですので
円滑な議事運営にご協力願います」

 会議は大別して2種類あります。1つは、いわゆるブレーンストーミング型の意見を出し合ってアイデアを膨らませていく拡散的思考法の会議。もう1つは、手元にある情報などを基に結論を導いていく収束的思考法の会議で、こちらのほうが一般的な会議と捉えられています。

 拡散的思考法の会議は、時間を区切って行うのが一般的です。ついつい長くなりがちで、会社によっては2〜3時間を当たり前のように割いているケースが珍しくないと聞きます。収束的思考法の会議は、討議すべき事項と報告だけで済ませる事項に分けるのが一般的です。討議すべき事項は可決(承認)か否決(反対)か、あるいは場合によって保留や付帯事項を付けての承認などといった結論を必ず得るものです。

 いずれの会議にしても、司会者(進行者)がテーマの時間配分を十分に認識することが不可欠ですが、事前に会議時間を午前11時から60分などと明確にした上で議事進行に努める。どうしても長くなるようであれば休憩を挟むか、頃合いを見いだして時間を再調整する。これが肝要です。特に様々な意見が飛び交う拡散的思考の会議の場合は、その必要性が高まります。

 私が司会をするときには、最初に会議の時間を明言すること、年間の会議の中で今日の会議が持つ意義を確認することに努めています。会議の冒頭に「テーマは○○○○○、時間は○○分ですので、円滑な議事運営にご協力願います」などと概要を述べると、参加者の意識が一致し、整然と進むようになりますので、試してみてください。メールで連絡すれば済むという声が聞こえてきそうですが、事前にメールでさらっと流すのと、会議の冒頭で言葉を使って示すのとでは大きく違います。

 会議は集まった人の理解を促進した上で、最大公約数の意見として集約するために行うもの。休憩を取らずにじっとしたまま長時間に及ぶと自然に集中力がなくなってきますし、頭も体も疲れてくれば良い打開策などは生まれません。短い時間でもリフレッシュは可能であり、そうしたほうがよりよい思考やアイデアにつながるのは言うまでもありませんが、めどをつけずに延々と続けてしまいがちなのが会議なのです。

 明確な目的意識を持ち、対面で「自分の言葉」を述べ合うことで会議をそれぞれの立場で実のあるものにするべく、必要十分な時間で実施しましょう。

会議を「片付けるもの」にならないよう、時間やテーマを明確にしてメリハリを付けた「実りのあるもの」に。