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第4回 電話・メール編 住所のように大から小へ

第4回 電話・メール編 住所のように大から小へ

プロフィール
山田敏弘(やまだ・としひろ)岐阜大学教育学部シニア教授(専門:日本語学・方言学)
1965年岐阜県生まれ。名古屋大学卒。名古屋大学大学院博士課程前期課程修了。大阪大学大学院博士課程前期課程を経て博士取得(文学)。国際交流基金派遣日本語教育専門家としてローマ日本文化会館で勤務経験を持つ。著書は「国語を教える文法の底力」「国語教師が知っておきたい日本語文法」(くろしお出版)、「日本語のしくみ」(白水社)、「日本語のベネファクティブ」(明治書院)、「その一言が余計です。」(ちくま新書)、「あの歌詞は、なぜ心に残るのか」(祥伝社新書)など。

事例 アイコン

「もしもし、○○と申しますが、△△様はいらっしゃいますか」

 携帯電話をはじめとした電話番号(発信者)通知により、電話の受け答えも大きく変わりました。しかし、電話をかけるとき、まず自分の名前を名乗るのが大切になることは今も昔も変わりません。
 この名乗る際に、ちょっとした工夫をすると、情報がよりよく伝わります。

 日本語は、住所でも、「東京都千代田区大手町……」のように、大から小へ絞り込んでいく言語です。これを電話で名乗るときに応用してみましょう。「□□社の○○と申します」のように、社名など相手と共有できる情報から伝えると、円滑なコミュニケーションが開始できます。また、「××の件で営業部課長の△△様に……」と、何の用件なのかまで添えることで、個別の情報が伝わりやすくなり、丁寧な印象も与えます。
 ここでのポイントは、「□□社」や「××の件で営業部課長の」のような情報を挟み込んでいることです。このような付加的情報は、電話を受けた側に、個別の内容を聞く準備をさせます。人は次に述べると予想された情報を、よりよく聞きます。名前の前のこのような情報は、実は、その情報自体が大切なのではなく、名前をよりよく伝える前置き表現なのです。
 ただし、あまり長くなってはいけません。名前を修飾する付加情報は、字数で15字、2秒程度まで。5秒では長すぎます。なるべく端的に述べましょう。

 自分の名前を伝えることも大切ですが、電話に対応してくれた人の名前を確認しておくことも大事です。名乗ることは責任を負うということ。日常茶飯事の名乗りの場面ですが、よりよく情報が伝わるよう、ちょっとした工夫を加えるといいでしょう。

情報を確実に伝えるには、
聞き取る身構えができる言葉を、
なるべく端的に添えましょう。