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ビジネスで役立つ!ことばのお作法

第2回 面接編 前向き姿勢は主語にあり

第2回 面接編 前向き姿勢は主語にあり

プロフィール
山田敏弘(やまだ・としひろ)岐阜大学教育学部シニア教授(専門:日本語学・方言学)
1965年岐阜県生まれ。名古屋大学卒。名古屋大学大学院博士課程前期課程修了。大阪大学大学院博士課程前期課程を経て博士取得(文学)。国際交流基金派遣日本語教育専門家としてローマ日本文化会館で勤務経験を持つ。著書は「国語を教える文法の底力」「国語教師が知っておきたい日本語文法」(くろしお出版)、「日本語のしくみ」(白水社)、「日本語のベネファクティブ」(明治書院)、「その一言が余計です。」(ちくま新書)、「あの歌詞は、なぜ心に残るのか」(祥伝社新書)など。

事例 アイコン

「勤めていた会社の雰囲気は、どうでしたか?」」
「とんでもない職場環境でした」

 人でも物事でも、必ず良い面と悪い面の両面があります。しかも、善悪は主観的な判断。ある人にとって良いことが他者にとって悪いことになることもあります。それだけに評価の表現には気を遣うわけです。
 勤めていた会社を主語にして悪い面ばかりを述べれば、聞き手に伝わるのは会社の欠点ではなく、話している人の否定的な見方です。気の置けない仲間内で上司への不満を言い合っている分にはいいのですが、同じことを面接の場で実行してしまっては、あなたの評価を下げてしまう要因になりかねません。
 しかも、勤めていた会社を主語にして述べる場合は必ず過去形を使いますから、後ろ向きでネガティブな人物であるとの印象を聞き手に与えてしまいます。
 こんなときには「私」から始める文で述べてみましょう。「私には合わないところもありました」などとしてみると、あくまで個人的な見解に限定され、婉曲に表現されます。会社に勤めながら活動している方は文末を現在形にするといいでしょう。

 また「私」から文を始める場合でも、「私がやりたいことが実現できなかった」と言うのはどうでしょうか。この言い方では最後(主文末)に助動詞「ない」が含まれていて、やはり否定的な述べ方を印象づけてしまいます。
 そのため面接では、できるだけ肯定形の表現を選んで遣いましょう。例えば新しい環境を探しているという意図を伝えたいときは、「私が思い描いていることを、よりよく実現できる環境を求めています」というように言ってみるのはどうでしょうか。自然と文末が未来の表現になり、積極的な印象が感じられます。主文末は未来の肯定表現を用いて、前向きな姿勢をアピールしましょう。

主語は「私」でへりくだり、
文末を肯定形で未来志向に表現しましょう。