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景気動向から転職市場を斬る

第7回2017年上半期

第7回2017年上半期

多くの産業で人材不足の深刻さが増す状況に
17年6月の完全失業者数は85カ月連続の減少

内閣府が発表した2017年4-6月期の国内総生産(GDP)成長率(1次速報値)は、実質成長率1.0%(年率4.0%)、物価変動を織り込んだ名目GDP成長率は1.1%(同4.6%)となった。国内経済が堅調に推移していることを反映して人材需要も好調だ。厚生労働省が発表した17年6月の有効求人倍率は前月比0.02ポイント上昇の1.15倍となるなど、相変わらず高水準で推移している。

就業者数、雇用者数とも54カ月連続増加

厚生労働省が発表した「一般職業紹介状況(17年6月分)」のデータを見ると、有効求人倍率が1.51倍となったほか、新規求人倍率は前月から0.06ポイント下がったものの2.25倍と高い数値を示している。また、正社員有効求人倍率(季節調整値)は1.01倍と前月を0.02ポイント上回り、2004年の集計開始以来、初めて1.0倍を上回っている。

また総務省統計局が7月に発表した「労働力調査」によれば、6月の完全失業率(季節調整値)は5月の3.1%を0.3ポイント改善する2.8%と、今年2~4月にかけての水準に回復した。完全失業者数は192万人で前年同月比18万人の減少となり、実に85カ月連続の減少となっている。6月の就業者数は同61万人増加の6583万人、雇用者数は5848万人で同じく87万人増加となった。ともに54カ月連続の増加である。

若手の採用、ベテランの活用にひと工夫

転職市場は“売り手市場”が続く。とくに情報・通信関連ではAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)を新たなキーワードに技術者不足がより深刻さを増している。例えば安全性の向上を目的とした先進運転支援システム(ADAS)や将来的な自動運転という潮流において、ソフト開発やハード開発の経験者などITスキルを身に付けた人材は自動車関連産業で引っ張りだこだ。もちろんエンジン関連や他の電装品などの技術者も自動車の高度化には不可欠であり、同じようにニーズが高い。

そうしたITスキルや技術を持つ人材が不足していることを背景に、まったく経験のない若者を雇用し、短期間の研修で基礎を身に付けさせるという方法を選ぶ企業もある。IT人材の派遣や受託ソフト開発を行っているある中堅企業では、完全にIT人材の採用をあきらめ、事務や営業に携わってきた人材を採用して3カ月でソフト開発の基礎を習得させ、それで人材不足を補って成果を上げているケースもある。

同時にベテラン層の活用も各社が頭をひねり、65歳の定年延長も珍しいことではなくなりつつある。ある機械メーカーでは技術の継承や若手の指導といった目的だけでなく、不足する人材を補填するために再雇用者の拡大を図っている。本人の働く意思を尊重することはもちろん、時間や待遇面での制約もあるが、未経験者を研修で育てるというコストを考えずに済む狙いもある。

将来的な生活環境の変化も視野に

そんななかで、政府が「働き方改革」の新たな試みとして、自宅など職場以外で働けるテレワークにも力を入れ始めている。労働者の生活環境の変化、例えば育児や介護などで従来と同じ条件で就業することが難しくなる場合がある。少子高齢化が進めば、必然的に労働時間の選択など就業形態に自由度が要求される。育児や介護で会社に通えない人でも、在宅勤務が可能ならば働き続けることができる。

労働力の確保や働きやすさの環境整備という観点から、在宅勤務やテレワーク、リモートワークを実行に移す企業も増えている。在宅勤務の形態も月に数日や週1回、自分の好きな時を選べるなど、一歩先をゆく勤務形態を取り入れる企業もあり、さらには副業を認める企業も出てきた。中堅機械メーカーが開発エンジニアの募集に際し、在宅勤務制度があることを明記したら1人の募集に対し600人の応募があったという。新卒採用でも在宅勤務制度をアピールした食品メーカーでは、とくに女子の応募が増えたというケースもある。

仕事への適応だけでなく、例えば在宅勤務などの勤務形態が、今の自分のニーズだけでなく将来的な生活環境の変化の可能性と合っているかも、企業選択のポイントになってきている。

2017年上半期の動向から転職市場を探る2017年上半期の動向から転職市場を探る

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出所:厚生労働省(有効求人倍率)と総務省(完全失業率)の発表資料を基に作成