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景気動向から転職市場を斬る

第6回2016年下半期

第6回2016年下半期

高水準続く有効求人倍率、2016年12月の完全失業者数は79カ月連続で減少

厚生労働省が発表した2016年12月の有効求人倍率(季節調整値)は1.43倍となり前月を0.02ポイント上回った。16年の年間の動向をみると1月の有効求人倍率1.28倍でスタートして以来、12月の1.43倍まで一度も前月を下回ることなく、一貫して緩やかに上昇を続けた。有効求人倍率だけを見れば高水準で推移しており、“売り手市場”が継続している。

企業の人手不足は過熱気味、その勢いは増すばかり

有効求人倍率が高水準で推移しているのに伴い、このほど総務省統計局が発表した2016年12月の完全失業率(季節調整値)は3.1%と11月と同率となった。完全失業者数は193万人で前年同月に比べ11万人の減少となり、これは79カ月連続の減少だ。

また、12月時点での就業者数6466万人で前年同月日プラス81万人と25カ月連続の増加、雇用者数は5798万人で同104万人増となり48カ月連続の増加となっている。

こうした雇用の好環境が続く背景には、円安により自動車や機械といった輸出産業の景況が、良い状況が続いているためだ。16年前半は円高基調に戻りつつあったが、後半は円安基調で安定。企業の決算からも好況がうかがえる。

内閣府が発表した16年7-9月期の日本の国内総生産(GDP)成長率(2次速報値)は、実質0.3%(実質年率1.3%)、名目0.1%(実質年率0.5%)となった。景気全体を俯瞰してみれば、緩やかに上昇しているというわけだ。

こうした状況を反映して、厚生労働省の発表した16年勤労統計調査(速報値)によれば、物価変動を除いた16年通年の実質賃金上昇率は0.7%となり5年ぶりのプラスとなっている。現金給与総額(名目賃金)が0.5%増と3年連続で上昇していることに加えて、原油安、円高の影響などが寄与したかたちだ。

経済情勢も安定し、有効求人倍率も相変わらず高水準で推移していることもあり、転職を考えているビジネスパーソンにとってはマイナスとなる状況ではない。東証1部に上場する中堅ソフトベンダーの経営企画のトップは「引き合いは多いが、今のマンパワーでは受注できない」と頭を痛めるなど、企業の人手不足は過熱気味で、その勢いは増すばかりだ。

人手不足の影響で売上高を積み増すわけにもいかず、無理に受注しても社員に負担をかけるだけ。無理がたたって赤字プロジェクトにでもなれば利益を押し下げる要因になりかねない。「解決策はない」とあきらめ顔だ。

人手不足で加速する「省力化」と「自動化」

生き残りのために企業の競争が激しくなるのは世の常。それをサポートするのが情報武装である。今はビッグデータの活用や人工知能(AI)、ディープラーニング(深層学習)とより高度な技術が注目されている。ハイレベルなテクノロジーが求められればシステム開発のレベルが高くなる。

それを実現できるのは、高い技術力を備えるとともにリーダーシップを備えたPM(プロジェクトマネジャー)だ。ただ、こうした人材は転職市場を探しても、なかなかいない。前出の経営企画トップは「エージェントに依頼するだけでなく、独自にあの手この手を尽くしているが、どうやら『絶滅危惧種』らしい」と苦笑する。

企業は人手不足への対策を本格化しつつある。日本では高齢化とともに労働力人口が減少することは確実。そのため製造業だけでなく様々な分野で「省力化」と「自動化」がキーワードになっている。最近、新設されたスーパーマーケットでセミセルフレジをよく見るようになった。チェックをレジの店員が行い、支払いは買物客が精算機で行うというチェックアウト方法だ。

その効果は意外と高く、レジでの客待ち時間が半分以下になったという声を聞く。客待ちが減れば、店員のいるレジのレーン数を減らすこともできる。このように効率化につながる投資をして設備改善を実行し、人材をやりくりしていかなければならないほど、社員どころかパート社員やアルバイトも集まらない状況が、私たちの身近な労働環境でも深刻化している。

2016年下半期の動向から転職市場を探る2016年下半期の動向から転職市場を探る

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出所:厚生労働省(有効求人倍率)と総務省(完全失業率)の発表資料を基に作成