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景気動向から転職市場を斬る

第4回2015年下半期

第4回2015年下半期

中国の景気減速が明らかになり日本の景気への影響が懸念される一方で、国内の雇用情勢は順調に推移している。厚生労働省がこのほど発表した2015年12月の有効求人倍率(季節調整値)は11月に比べ0.02ポイント高い1.27倍に上昇。バブル崩壊で景気後退局面に陥る直前、1991年12月の1.31倍に次ぐ高い水準となった。これにより2015年平均の有効求人倍率も1.20倍となり、1991年以来の高水準となった。

企業の業績は好調に推移するも指標から改善効果はさほど見られず

2015年は円安を背景に、輸出採算が改善されるなど企業業績は好調に推移している。その一方で、各種の統計指標はそれほどの改善効果を示していない。経済産業省のまとめた鉱工業生産指数(原指数、2010年=100)によれば、2015年の生産指数は前年同期比0.8ポイント減の98.2、生産者出荷指数は同1.0ポイント減の97.2にとどまった。スマートフォン需要などがけん引した電子部品・デバイス工業は生産指数102.7で同6.4ポイント増、生産出荷指数115.7で8.6ポイント増となった。

内閣府が発表した景気動向指数(CI)では、12月の一致指数(速報値、2010年=100)が前月比0.7ポイント減ながら111.2と高い水準を維持。一致指数は、鉱工業生産指数や製造業の稼働率指数、所定外労働時間指数、有効求人倍率など11の経済指標を基にして算出されており、12月の景気動向指数の基調判断は「足踏み」となっている。

また、7-9月の国内総生産(GDP)は1次速報値が-0.2%(年率換算-0.8%)だったが、季節調整済みの2次速報値は一転して+0.3%(年率換算+1.0%)に上方修正。最新の10-12月の1次速報値は-0.4%(年率換算-1.4%)となった。

働き方の多様性について様々な工夫を取り入れる動きが目立つように

景気の浮揚感は事実上薄れているが、人材不足は深刻さを増している。IoT(モノのインターネット)や自動車の電子化進展でソフト開発や組み込みソフト開発のプログラマーの需要はひっ迫の状態が続いている。さらにエレクトロニクス分野だけでなく、建設現場の労働者も震災復興需要の長期化もあって不足気味。建設工事の遅れが顕在化するとともに、それに付帯する工事も着手が遅れ関連する企業の業績にも影響を与えている。

景気動向に加えて、労働市場動向に影響を与えているのが2015年9月末に施行された「改正労働者派遣法」だ。従来、労働者派遣は特定派遣と一般派遣に分類されてきたが、それが撤廃されるとともに、同一事業所・業務への派遣期間が3年などと規定された。また派遣事業者は、教育・研修などキャリア形成支援制度を設けなければならず費用負担が増加する。そのため事務員の派遣など低採算の派遣事業を撤退・縮小する動きも出てきた。派遣先での直接雇用や派遣事業者が自社の社員として雇用するといった変化も出ている。

有効求人倍率が高水準で推移するとともに、企業も働き方の多様性について様々な工夫を取り入れるようになってきた。産休や育休といった制度だけでなく、時短勤務に柔軟性を持たせたり、ワーキングシェアを取り入れたりするなど、従来に比べて一段と踏み込んだ取り組みを実行する企業も増えている。人員の適正化を図り、ITによる経営効率の改善を掲げても、企業の主役は「人材」である。顧客サービス向上や業績拡大の戦力となるのは「人材」という認識が、人材不足の中でさらに際立ってきたと言えるだろう。

2015年下半期の動向から転職市場を探る2015年下半期の動向から転職市場を探る

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出所:厚生労働省(有効求人倍率)と総務省(完全失業率)の発表資料を基に作成