ビジネスパーソンのキャリアアップ・転職について考えるニュース・コラムサイト

景気動向から転職市場を斬る

第3回2015年上半期

第3回2015年上半期

国内の雇用情勢は、2014年に引き続き明るさを保っている。総務省がこのほど発表した2015年6月の完全失業率は、前月に比べ0.1ポイント悪化はしたものの3.4%で、2014年平均の3.6%を下回るレベルで推移している。また、厚生労働省が発表した6月の有効求人倍率(季節調整済み)は、1.19倍となった。昨年12月には1.15倍と22年ぶりの高水準を記録したが、今年に入って1月の1.14倍に始まり1-3月の平均値で1.15倍、4-6月の平均値は1.18倍と高い水準で推移している。

マイナス要因は中国経済の減速感や個人消費の低迷

円安を背景に、輸出関連の製造業を中心として企業の業績が好調だ。円高進行下では、国内設備の縮小や従業員のリストラを進めていた企業でも、規模の適正化の効果も出て業績を伸ばしているところが多い。その一方で、内閣府が発表した景気動向指数(2010=100)によれば、6月の一致指数は112.3となり、前月との比較では0.7ポイント上昇し2カ月ぶりのプラス。基調判断では「足踏み」となっている。

一致指数は、鉱工業生産指数や製造業の稼働率指数、所定外労働時間指数、有効求人倍率など11の経済指標を基にして算出される。景気の波に対して数カ月早く動く先行指数、数カ月遅れて動く遅行指数に対して、一致指数は現況をストレートに示している。また、内閣府が発表した4-6月の国内総生産(GDP、季節調整値)の速報値では、3四半期ぶりのマイナスとなる前期比0.4%減、年率換算では実質1.6%減となった。この背景には、輸出をけん引してきた中国経済の減速感や個人消費の低迷がある。

景況感がやや沈静化しているものの、雇用情勢のトレンドは、製造業はもとより飲食、サービス産業で人材のひっ迫感が高まるなど一貫して高い水準を維持している。

採用だけでなく育成にも課題を挙げる企業も多く

人材不足は、IT関連分野でも相変わらず続いている。従来からのスマートフォンの普及にともない、デバイス開発やソフト開発の需要が高水準。それに加えてエコカーや安全運転支援装置開発など自動車分野も、いまや活躍の場として当たり前になっている。自動車のIT化が進むことで、これまでにないスキルも求められる。従来の制御系の組み込みソフト技術者をはじめ、自動車のネットワーク端末化、安全運転支援システムと将来的な自動運転システム開発など、スキルの幅が広がるとともに深さも求められている。

IT関連分野では、このほかにも「マイナンバー制度」のスタートを控え、標的型サイバー攻撃や情報漏えい対策からセキュリティー対策を講じる人材の確保が急務になっている。システム開発だけではなく、監視サービスの強化やサポート体制の拡充などは技術力と人材の豊富さがサービス差別化のカギとなっている。そのため採用に力を入れるだけでなく、育成を課題に挙げる企業は多い。育成により若手社員の離職率を引き下げるという狙いもある。

日本の強みであるものづくりや日本ならではのサービスを表現する“おもてなし”は人に依存する。そうした熟練の技術や日本ならではのサービスの継承が課題となるうえ、2020年に東京オリンピック・パラリンピックの開催を控えていることもあり、人材の確保とともに育成という点でも企業マインドが変化しつつある。

2015年上半期の動向から転職市場を探る2015年上半期の動向から転職市場を探る

有効求人倍率有効求人倍率 完全失業率完全失業率

出所:厚生労働省(有効求人倍率)と総務省(完全失業率)の発表資料を基に作成