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景気動向から転職市場を斬る

第2回2014年下半期

第2回2014年下半期

国内雇用情勢に明るい兆しが出てきた。総務省が発表した12月の完全失業率は3.4%。2014年の年平均では3.6%となり前年に対し0.4ポイントの改善となった。一方、厚生労働省が発表した12月の有効求人倍率は1.15倍と1992年3月以来22年9カ月ぶりの高水準となった。14年の平均では前年比0.16ポイント上昇し1.09倍となった。これは91年の1.40倍以来23年ぶりの高水準である。

採用計画に対する充足率は目標に遠い道のり

内閣府が発表した2014年12月の景気動向指数(2010年=100)は、一致指数が前月比1.5ポイント上昇の110.7と2カ月ぶりのプラスとなった。これにより政府は、景気後退期入りの可能性がある「下方への局面変化」から「改善」へと引き上げ、景気の拡大期に入った可能性を示唆した。

一致指数は、鉱工業生産指数、大口電力使用量、製造業の稼働率指数、所定外労働時間指数、全産業の営業利益、有効求人倍率など11の指標を基に算出される。景気の波に対して数カ月早く動く先行指数、数カ月遅れて動く遅行指数に対して、同時に動く一致指数は現在の景気の状況を示しているわけだ。ちなみに先行指数では、在庫率指数や設備投資動向の目安となる機械受注、東証株価指数などを用い、遅行指数は完全失業率、家計消費支出などを用いて算出する。

景気が“改善”へと向かうことで、15年3月期決算企業では円安などを背景に輸出関連企業を中心として全体の経常利益が過去最高を更新する見込みとなっている。

企業の業績が上向く中で、雇用環境もタイト感を増している。14年上期の段階でソフト開発や半導体関連などIT(情報技術)分野では、人材不足の様相を呈していたが、下期ではさらにそれが慢性化している。とくにソフト開発などでは中途採用を活発化しているものの、ほとんどの企業で採用計画に対する充足率は高くはない状況だ。

このため首都圏のSI企業では、比較的余力のある地方のソフト開発企業と提携し「ニアショア開発」に進出するケースもある。背景には「オフショア開発」の中心である中国の人件費高騰がある。こうした状況は、ソフト開発に限らず電子部品など製造業全般に広がり始めている。

好業績のけん引役の自動車業界も実情は困難

自動車製造ではトヨタグループが好調だ。円安で輸出採算が改善し、14年3月期の営業利益は過去最高の2兆7000億円を予想している。14年の生産台数でも独フォルクスワーゲンを抑え、首位の座を堅持した。自動車生産が高水準で、自動車部品メーカーも業績が上向いている。その分、人材確保は困難な状況である。愛知労働局によれば、東海4県の12月の有効求人倍率は1.37倍となり3カ月連続で前月比プラスとなっている。

14年1ー6月は、入職率が前年同期を1.3ポイント上回る10.7%。その一方で離職率は、同0.3ポイント減の8.6%となった。人材派遣会社の幹部によれば「離職者が目に見えて減っている」という。それでも労働者過不足判断DI(不足ー過剰)をみれば11年以来、トレンドとしてプラス傾向が続いており、人材確保を課題に掲げる企業にとっては、非常に厳しい状況になっていると言えるだろう。

2014年下2半期の景気動向から転職市場を斬る2014年下2半期の景気動向から転職市場を斬る

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出所:厚生労働省(有効求人倍率)と総務省(完全失業率)の発表資料を基に作成