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景気動向から転職市場を斬る

第1回2014年上半期

第1回2014年上半期

国内景気の回復基調を背景に、雇用環境にも改善が見られるようになっている。厚生労働省がこのほど発表した2014年6月の有効求人倍率(季節調整値)は、19カ月連続の改善となる1.10倍となり、バブル崩壊後の最高水準となった。とくに製造業を中心に技術者の求人が増加していることに加え、IT(情報技術)関連産業でも人手不足に陥っている業種も出てきている。

製造業の国内回帰現象も見られるように

6月の有効求人倍率は前月比で0.01ポイント改善。継続して求人が回復基調にあることを示している。1.10倍という数値も1992年6月以来、22年ぶりの高水準。総務省が発表した6月の全国の完全失業率(季節調整値)は前月比0.2ポイント悪化の3.7%。前月は3.5%と3カ月ぶりに改善が見られ、97年12月以来、16年5カ月ぶりの低水準となり完全失業者数は男女合わせて233万人で、4月に比べ3万人減少していた。6月の失業率の悪化は、よりよい条件の待遇を求めて転職に踏み切った人などが増えたことが主因で、総務省も一時的な失業率の悪化との判断を示している。完全失業者数は男女合わせて244万人で11万人増加した。

こうした雇用環境の改善は国内の景気が回復基調にあることが最大の理由。アベノミクス効果で円安による輸出拡大と輸出採算改善で製造業の企業収益が増大。中国の度重なる最低賃金引き上げもあり、東南アジア諸国連合(ASEAN)への生産シフトだけでなく、国内回帰現象が見られるようになってきた。経済産業省が5月に発表した鉱工業生産指数も輸送機械工業や食料品製造などを中心に生産指数が0.7%上昇。12年秋ごろには在庫指数が増大、低調な生産・出荷指数との開きが大きくなっていたが、今年の第1四半期は消費増税を控えた駆け込み需要もあって生産、出荷、在庫の各指数が極めて近接するようになった。

技術者の引き合い高まり、充足度は厳しく

自動車産業は国内向けが4月の消費増税の反動減の影響があるものの円安効果で輸出は順調に推移している。IT関連産業では半導体および半導体製造装置産業が変動は大きいものの、輸出だけでなく国内向けの生産も上向き、2012年から13年前半にかけてのリストラの反動もあり人材確保に躍起になっている。情報処理サービス関連でもクラウド化や景気回復によりシステム更新需要が本格化。通信サービスを含めてモバイル関連システム開発が活発化する兆しが出ており、SEはじめソフトウェア開発技術者の不足が深刻化しつつある。

技術者に対するニーズは自動車産業やIT関連産業を中心に13年から引き合いが高まっており、技術者派遣大手の担当者によれば「特定派遣の稼働率は100%近くに達している。優秀なエンジニアを探すことも難しくなってきた」と語る。IT企業の採用担当者も「求める人材とのミスマッチが悩み」とする。企業側は求める人材に対して技術力や管理能力などのスペックを絞り込んでいるが、実際に採用できる人材は必ずしも想定するスペックに当てはまるものではないという。そのため技術者を求める企業では高度なスキルを持った人材の開拓に本腰を入れているものの、採用の充足率はまだ満足できるレベルにはない状況という。

今年度は緩やかな景気回復が継続する見通し。製造業やIT関連産業では、中途採用で専門分野における幅広い技術のノウハウを備えていたり、プロジェクトリーダーが務まるようなマネジメント能力を持っていたりというように、高いスキルを持った人材の採用を積極化する企業が増えている。海外への生産移転が下火になったわけではないが、好業績を背景に採用拡大も継続するだろう。その一方で人材に対する要求レベルも高まっている状況を認識しておきたい。

2014年上半期の景気動向から転職市場を斬る2014年上半期の景気動向から転職市場を斬る

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出所:厚生労働省(有効求人倍率)と総務省(完全失業率)の発表資料を基に作成