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第24回<後編>株式会社ハッシャダイ 取締役COO/株式会社ハッシャダイファクトリー 代表取締役 橋本茂人氏

第24回<後編>株式会社ハッシャダイ 取締役COO/株式会社ハッシャダイファクトリー 代表取締役 橋本茂人氏

前編では、非大卒者のための就活支援プログラム「ヤンキーインターン」を手掛けるハッシャダイの取締役COOの橋本茂人氏に、ハッシャダイ者の成り立ちやサービス立ち上げに関するエピソードなどについて聞いた。後編では、2018年3月に亀山敬司氏率いるDMMグループ入りした経緯や、今後の展望などについて聞いていく。

DMMグループ入りで成長が一気に加速

―― 「ヤンキーインターン」は、大学進学率の増加にともなって、顧みられることが少なくなった中高卒者のポテンシャルに光を当てたことが高く評価されました。しかし、その一方で解消が難しい課題も抱えていたと聞きます。どのような課題だったのでしょうか?

橋本 僕らのビジネスモデルは、ビジネスコースの参加者が営業研修時に商品を売ったことで得られる販売手数料と、研修後、企業に採用された時点で発生する人材紹介料で成り立っています。しかし、ヤンキーインターンは若者を一定期間預かって衣食住を保証し、即戦力となる人材を育成して社会に送り出すことが前提であるため、利益率が高くありません。また、創業以来ずっと自己資金で経営してきたこともあり、受け入れ人数を急拡大するのも現実的とはいえませんでした。創業前から温めていた「いつか自分たちの手で学校をつくりたい」という目標を実現するには、あと何年かかるかわからないという課題が徐々に明らかになってきたのです。

――事業を拡大させるには経営手腕に加え、資金も必要です。

橋本 大雑把にいうと、毎年大学に進学する人の割合は60%程度で、そのうち10%が退学、中卒や高卒は全体の50%ほどになります。これだけ非大卒がいるにも関わらず、僕らがサービスを提供できるのはほんの一握りに過ぎません。そこにもどかしさを感じていたとき、経営経験豊富なDMM会長の亀山敬司さんと知り合うことができました。

――2018年3月、ハッシャダイはDMMグループ入りし、亀山敬司会長がハッシャダイの「GTK」(Great Teacher Kameyama)に就任されました。

橋本 ハッシャダイがDMMグループ入りしたことで、成長のスピードは確実に上がっています。リゾート地など、移動がともなう就労に特化したトラベルインターン事業「ハッシャダイリゾート」に着手できたのも、そのひとつの成果といえます。学校をつくる計画はまだ実現していませんが、通信制高校の設立準備は着々と進行中です。ちなみにGTKというのは、僕が付けた役職名なんですよ。

―― ハッシャダイについて、亀山さんからはどのような話がありましたか?

橋本 「DMMはお金を稼ぐから、ハッシャダイは価値を稼いでほしい」と言われたことが、一番印象に残っています。DMMは非常に合理的な考え方に則って経営されている企業です。一方、ハッシャダイはお金儲けの文脈とは少し違う側面を持つ企業なので、亀山さんはそうおっしゃったんでしょう。でも僕らとしては、その言葉に甘んじるつもりはありません。まだ結果は出せていませんが、稼げる事業を創出して、いい意味で亀山さんを裏切れたらと思っています。


―― インターン生と関わって、ご自身の考えが変わったことはありましたか?。

橋本 ヤンキーインターンに参加を希望してくる若者は、生き方を変えるチャンスをつかむために全国から集まってきます。ともすると僕らが教える側、彼らが教えられる側と思いがちですが、さまざまな知識を吸収し、ものすごい勢いで成長していく姿を見ていると、むしろ彼らから教えられることのほうが多いかもしれません。彼らのとがった発想力や飛び抜けた行動力、変わろうとする熱意を前にすると、改めて彼らの能力を伸ばすのが自分たちの役目だと感じます。

―― 今後、事業を通じてどのような社会貢献をしていきたいと考えますか?

橋本 いまは若者にフォーカスした事業に注力するフェーズですが、いずれ若者をサポートする事業は彼らの同世代に任せて、シングルマザーや外国人のみなさんが直面している格差の解消にも取り組んでいきたいと思います。僕らの社会には学歴格差だけでなく、地域格差や情報格差、経済格差が横行しています。こうした格差を完全になくすことは難しいにしても、いまよりもフラットな状態にはもっていくことはできるはず。ハッシャダイの究極の目標は、ハッシャダイが不要な世界をつくることです。


―― 最後に、いま人生の転機を迎えている読者にメッセージをお願いします。

橋本 何よりも自分がこうありたいと思う姿を実現していくことが一番大事なことではないでしょうか。そうはいっても、家族など身近な人のことを考えると、自分本位では動けないという人もいるかもしれません。その気持ちもよくわかります。でも、もしそこで自分の気持ちを封印できたとしても、いつか無理がたたって、かえって悪い状況に陥ってしまうかもしれません。もし、心からやりたいことがあるなら、抱えている課題としっかり向き合い、前に進む選択をすべきだと思います。

<取材後記>

小学校から野球を始め、10年間野球漬けの日々を送ったという橋本氏。高校最後の試合が終わった瞬間、野球で生きていくという長年の夢が絶たれ、人生が終わったように感じたという。しかし当時の監督から「野球で負けても人生で負けるな」といわれ一念発起。高校3年の夏から猛勉強を始め、見事に大学合格を勝ち取った。それがいまにつながる転機になったと橋本氏はいう。「行動を起こせば状況は変えられる」。橋本氏はこの思いを胸に、今日も仕事に取り組んでいる。


株式会社ハッシャダイ 取締役COO
株式会社ハッシャダイファクトリー 代表取締役

橋本 茂人氏

1991年、大阪生まれ。2014年、関西大学商学部商学科卒業後、ITフリーランス人材のマッチングサービスを手掛けるギークスに入社。法人・個人営業や採用PRを経験する。15年、独立と同時に帰郷しフリーのウェブマーケターとして活動後、大学時代からの友人である久世大亮氏と再会。16年、ハッシャダイの前身となる会社に入社する。現在、ハッシャダイ取締役COOおよびハッシャダイファクトリー代表取締役を兼務する。