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第10回<後編>株式会社マネーフォワード 執行役員 MFクラウド本部長 宮原 崇氏

第10回<後編>株式会社マネーフォワード 執行役員 MFクラウド本部長 宮原 崇氏

前編では、宮原氏のキャリアの変遷をたどってきた。後編は、マネーフォワードへの入社までの経緯や仕事への思い、これから取り組むべき課題とその意欲について掘り下げていく。

執行役員として、法人向けクラウドサービス部門を率いる

―― マネーフォワードに入社した経緯について聞かせてください。

宮原 グリーに入社して1年半ほど経った頃、知人を介して辻(マネーフォワード代表取締役社長CEO)を紹介されました。当時はまだ、マネーフォワードのサービスは個人向けの自動家計簿サービス『マネーフォワード』だけで、法人向けサービスはこれからという状態でした。入社して自分に貢献できることはあるのか図りかねる状態だったのですが、辻の人柄の良さに加え、「お金に対する不安を軽減し、社会を良くしたい」という強い意志とビジョンに共感し、入社することにしたのです。

―― この転職で、中小企業のためになる仕事がしたいという思いがついに実現したわけですね。

宮原 はい。いま私が担当している『MFクラウドシリーズ』の主なユーザーは中小企業です。安価で使いやすいクラウドサービスをご利用いただくことによって、バックオフィス業務の効率化が進めば、中小企業は本業に集中できるようになり、ひいては倒産率を下げることにもつながる。そう考えました。マネーフォワードに入社したことで、伊藤忠商事時代から常に頭の中にあった、中小企業のためになる仕事がしたいという希望がかなったことは、自分にとって大きな幸せでした。

―― 現在の宮原さんの役割はどのようなものですか?

宮原 当初、法人向けサービスは『MFクラウド会計』だけでしたが、リリースから2年半で給与計算、請求書、経費精算に対応したサービスをリリースすることができました。現在は法人サービス部門を率いる執行役員として、『MFクラウドシリーズ』を、より多くのお客様に使っていただけるように全国の会計事務所や商工会議所に働きかけたり、中小企業向けのイベントで講演したりするなど、サービスの周知と営業活動に取り組んでいます。

―― 手応えはいかがですか?

宮原 最近、当社のサービスを使ってくださっているユーザーの皆さんから、業務効率が上がったという話や、資金の流れが「見える化」できたことで理にかなった投資ができるようになったという話を、たびたび伺うようになりました。ビジネスとしては、まだまだ道半ばといった気持ちですが、少しずつ良い状況をつくれていると感じています。

―― 水産物トレーダー、コンサルタント、営業企画を経て、現在は執行役員として法人向けサービス部門を率いておられます。過去から現在までのキャリアを振り返って、それぞれの時代をどんなステージだと位置づけますか?

宮原 伊藤忠商事では売上にこだわることや、お客様へ付加価値を提供する大切さ、絶対に仕事をやり抜くという強い気持ちを身に付けることができたので、いまでも非常に感謝しています。次のIBMビジネスコンサルティングサービスでは課題解決のための方法論やフレームワークを実際のプロジェクトで生かす術を学び、前職のグリーでは大勢の優秀な仲間たちと出会うことができました。いずれも、いまの私にとって大きな財産ですし、仕事にも良い影響をもたらしてくれています。


―― 将来に向けて、現在チャレンジしていることがあれば聞かせください。

宮原 高価なERPパッケージを購入しなくても、当社のクラウドサービスを利用すれば安価に会計を基軸とした中小企業のバックオフィスシステムを構築できるようになりました。今後はサービスの適用範囲をさらに広げて、新サービスを立ち上げる予定です。『MFクラウド会計』などに蓄えられた日次の財務データや入出金、請求に関するデータを活用することで、金融機関の融資審査の簡素化と短縮化を実現する『MFクラウドファイナンス』というサービスです。





―― その新サービスには、どのような効果が期待できますか?

宮原 これから日本は少子高齢化がさらに進み、現在400万社ある会社が、300万社まで減る日もそう遠くはないといわれています。そうした状況のなか、強い生産力、GDPを維持するには中小企業の強化が欠かせません。MFクラウドが手がける一連のサービスは、バックオフィスの業務を「守り」と「攻め」の両面から改善するものです。今後も引き続き、その手助けになるサービスを多様なアプローチで提供していきたいと考えています。

―― 最後に転職志向のある読者にメッセージをお願いします。

宮原 過去のキャリアや仕事内容を改めて振り返ってみると、人生の節目、節目で、自分の未来をつくる価値観や判断軸を整えながら、大きく育ててきたような気がします。きっと皆さんにも自分にしかできないことや、やりたいことがあるはずです。それらを足がかりに、自分にとってどんな状況がベストなのか、一度じっくり見つめ直してみてはいかがでしょうか。思い込みや既成概念から離れたところに、新しいチャンスが隠れているかもしれません。広い視野で仕事や会社を見渡し、良い選択をしてほしいと思います。

<取材後記>

さまざまな業種の企業に身を置いたが「いまが一番楽しい」と宮原氏。自分の思考や行動が、良くも悪くもダイレクトに跳ね返ってくる環境に、やりがいと責任を感じるからだという。「スタートアップでの仕事は、99%は大変なこと。でも、中小企業を支援するというビジョンをメンバー全員で共有しているので不安はありません」。中小企業庁によると日本の全企業のうち99.7%を占めるという中小企業(2014年7月時点)。その成長にフィンテックが果たすべき役割は大きい。宮原氏はいま、その最前線に立っている。


株式会社マネーフォワード 執行役員 MFクラウド本部長

宮原 崇氏

1999年、北海道大学経済学部を卒業し、伊藤忠商事に入社。約8年間、水産物トレーダーおよび関連会社取締役として勤務。2007年、IBMビジネスコンサルティングサービスに移り、大手金融機関や大手メーカーの統合計画策定および実行支援、チェンジマネジメントに取り組む。2012年、グリーに転じ、マーケティング事業本部で営業企画や新規事業企画リードを担当。2014年、マネーフォワードに入社し、現在に至る。