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イノベーションを興す次世代リーダーたちの視点

第10回<前編>株式会社マネーフォワード 執行役員 MFクラウド本部長 宮原 崇氏

第10回<前編>株式会社マネーフォワード 執行役員 MFクラウド本部長 宮原 崇氏
<はじめに>

ITを駆使したサービスが、私たちの生活に浸透しはじめて久しい。なかでもここ数年、注目を集めているのが金融(Finance=ファイナンス)と技術(Technology=テクノロジー)の融合により生まれたフィンテック(Fintech)分野だ。今回はフィンテック分野のリーディングカンパーの一つであるマネーフォワードで執行役員を務める宮原崇氏に、成長分野で活躍するための考え方や取り組みについて聞いた。

水産物トレーダー、コンサルタント、営業企画職を経験

―― これまでさまざまな仕事を経験されていらっしゃいますが、キャリアの第一歩を踏み出された伊藤忠商事では、どのようなお仕事をされていのですか?

宮原 伊藤忠商事では、水産物トレーダーとして海外で買い付けた海産物を国内で販売していました。例えば、インドやベトナムからフライ用の冷凍エビを輸入し、量販店や食品メーカー向けに販売するような仕事です。2005年から2007年にかけて、スペイン領カナリア諸島のラス・パルマスに駐在し、西アフリカのモーリタニアなどで冷凍ダコの買い付けをしていたこともあります。

―― 水産物トレーダーとして活躍していたにも関わらず、どうして異業種のコンサルタントへ転身されたのでしょうか?

宮原 きっかけは、2001年に米国で起きた同時多発テロでした。国内外で景気が急速に冷え込み、私が担当していた取引先の数社が潰れてしまったのです。倒産の原因は在庫が膨らみ、手元の現金が不足したことだったと聞いています。自分が良かれと思って売り込んだ商品が、間接的にお客様の経営を悪化させる一因になってしまったわけです。モノを売り買いする以外のことで、お客様の助けになることはできないだろうか。そんな思いが、経営やコンサルティングの世界に目を向けさせたんだと思います。

―― コンサルタントになって何を得ようと思われたのですか?

宮原 小さな会社の役に立つ仕事をするためには、もっと企業経営について知らなければと思ったのです。伊藤忠商事にいたとき、私が水産物を販売していたのは大半が水産仲卸や水産問屋を営む中小企業でした。実は私の父親も一時期、自営業を営んでいたのですが、私が大学生の頃に事業をたたんでしまいました。我が父のことながら悔しさを感じた当時の記憶と、大事なお客様の倒産が重なったのです。それで、どんなに苦しくても5年はがんばるつもりで、コンサルタントに挑戦しようと決意しました。


―― 水産物トレーダーとコンサルタントでは、まったく仕事内容が異なります。戸惑いはありませんでしたか?

宮原 そもそも前職では、パワーポイントで資料を作ることもあまりありませんでしたから、最初はかなり苦労しました。パソコンの使い方、ドキュメントのまとめ方に始まって、理詰めで論理を展開するための話し方や方法論、課題解決に用いるフレームワークを、一つひとつ身に付けなければなりませんでした。ただ、当時の上司や同僚が丁寧にサポートしてくれたこともあって、経営を学ぶ環境としてはとても恵まれていたと思います。




―― コンサルタント時代はどんなお仕事を担当されていたのでしょう?

宮原 金融機関の合併や、国内メーカーの海外子会社再編など、システムや組織統合にまつわるプロジェクトに関わることが多かったですね。そのなかで私が主に担当したのが、コミュニケーションプランを立て、相互理解を深めるための手立てを考え、手助けをする役割でした。

―― 大企業の改革を支援する仕事を通じて、中小企業の課題解決につながるノウハウを得ることはできたのでしょうか?

宮原 企業の大小によって使える部分と使えない部分がありますが、それでも得るものは多かったと感じています。そもそも中小企業の経営者は、日々の資金繰りや従業員の雇用など、さまざまな課題と真剣に向き合っておられます。責任感や切迫感という意味では大企業の部課長さんよりも、背負っているものが多い場合もありますし、成果へのこだわりも切実です。おかげさまでコンサルタントを経験したことで、課題を体系的に捉えて解決につながる方策を導く経験を積むことができました。現在、お付き合いさせていただいている中小企業のお客様の悩みを理解する上でも、当時の経験は非常に役立っています。

―― その後、ソーシャルゲームのグリーに転職されましたね。理由をお聞かせください。

宮原 入社から5年経った頃、大企業や金融機関ではない世界を経験してみたくなったのです。当時は中小企業向けのコンサルティング会社か、世界に誇れる技術を持ったスタートアップのどちらかに転職するつもりで活動していましたが、なかなか踏み切れるだけの材料が見つかりません。そのなかで出合ったのがグリーでした。当時はまだ、社員数は1000人足らずで、海外へプラットフォーム事業を展開しようと意気込んでいた時期でもあったので、興味を引かれて入社を決めました。


―― グリーでは営業企画や新規事業企画を担当されたそうですが、職種へのこだわりはないのでしょうか?

宮原 目の前の課題に対して全力で立ち向かうのが、自分にとっての仕事だと思っているので、職種にはこだわりはありません。それよりも大事にしていたのが、会社のビジョンに共感できるかどうか。会社の進む方向と自分の志向が重なるところで、自分にできることを見つけ、徹底してやりきる。それが私の仕事に対する一貫した捉え方です。それはいまも変わりません。


〜後編につづく〜

株式会社マネーフォワード 執行役員 MFクラウド本部長

宮原 崇氏

1999年、北海道大学経済学部を卒業し、伊藤忠商事に入社。約8年間、水産物トレーダーおよび関連会社取締役として勤務。2007年、IBMビジネスコンサルティングサービスに移り、大手金融機関や大手メーカーの統合計画策定および実行支援、チェンジマネジメントに取り組む。2012年、グリーに転じ、マーケティング事業本部で営業企画や新規事業企画リードを担当。2014年、マネーフォワードに入社し、現在に至る。