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イノベーションを興す次世代リーダーたちの視点

第7回<後編>アソビシステム株式会社 代表取締役 中川悠介氏

第7回<後編>アソビシステム株式会社 代表取締役 中川悠介氏

前編では、アソビシステム創業前から今日に至る快進撃の舞台裏について聞いた。後編では、原宿発のカルチャーをこれからどのように世界に向けて広めるか、中川氏が思い描くビジョンに迫る。

もっと多くの人に日本のカルチャーを知ってほしい

―― 常に走りながら考えてきたアソビシステムも今年で創立9年。組織としてステップアップするタイミングがきているのではないですか?

中川 いまは、ぼくがアソビシステム全体の方向性を示して、個々のアーティストのマネジメントは現場主導で動いているような感じです。これからどういう形態の組織になるかはわかりませんが、自分たちで考え、自分たちにしかできないことにこだわり続けるという点だけは、変わらないと思っています。

―― これからアソビシステムをどのような会社にしたいとお考えですか?

中川 アーティストマネジメントとイベントを両輪に、いままで以上に発信力を持った会社にしていかなければと思います。最近、オウンドメディアが流行していますが、あえていえば、会社そのものをメディア化したいですね。世界中にいるファンを「ふわっと」包み込んでいるような世界観を創りたいと考えています。

―― その意図は?

中川 ぼくらのコンテンツを愛してくれる人たちが世界に何十万人、何百万人といます。そういう人たちにもっとたくさん、日本のコンテンツを届けたい。「MOSHI MOSHI NIPPON」というプロジェクトは、まさにそうした目的で立ち上げました。

―― 原宿初の観光案内所も「MOSHI MOSHI NIPPON」の一環だそうですね。

中川 原宿を起点にして、外国人観光客のみなさんに日本のカルチャーに触れる機会をつくってほしくて「MOSHI MOSHI BOX」という観光案内所を設けました。例えばきゃりーをきっかけにアニメやファッション、食文化など、様々な分野に接点を持ってほしいのです。いまは世界各国で開催する「MOSHI MOSHI NIPPON FESTIVAL」というイベントやウエブサイト、テレビ番組を通して、日本のカルチャーへの入り口をたくさんつくろうとしています。

―― 内閣が主催する「クールジャパン戦略推進会議」の構成員になられたのも、こうした取り組みとか関係があるのでしょうか?

中川 そうですね。ただし、いまは「クールジャパン」という言葉が独り歩きしているような状況。このままだとバブルのような一過性のブームで終わってしまうのではないかという危機感を持っています。少なくともぼくらは、自分たちが仲間と創ってきたカルチャーを守りたいし、世界の人に知ってもらいたい。だから言葉だけでなく、きちんと自分たちの手でコンテンツを創っていくことが大事ということをいろいろな人たちに伝えていかなければならないと思います。

―― その思いをどのように伝えていきますか?

中川 SNSがこれだけ発達した時代だからこそ、実際に会って話したり、リアルなイベントを体感してもらったりしながら世界の人たちに日本のカルチャーを伝えていくつもりです。ビジュアルやクリエイティブ、音楽に国境はありません。入り口はどこでも構わないので、アメーバのように形を変化させながら、世界中に広げていけたらと思っています。



―― そのなかで中川さんはどんな役割を果たすおつもりなのでしょうか?

中川 ぼくらはスマホやITを使いこなす下の世代とも、いまにつながるカルチャーを創ってきた上の世代ともつきあえる「はざまの世代」。海外へ出ることにも抵抗がまったくないので、世代を越えた取り組みを進められればいいと思っています。創り手の思いがこもったコンテンツには力があります。良いと思える人や場所に出会うために、これからも積極的に動いていくつもりです。

―― 最後に読者にメッセージをお願いします

経営者にもビジネスパーソンにも、人生の岐路は等しく訪れるものだと思います。辛くてもお金が稼げるほうがいいという人もいれば、少しでも楽しいことで糧を得たい人もいるでしょう。成功の形だって人それぞれのはずです。大切なのは他人の基準ではなく、自分に正直になって進むべき道を決めることではないでしょうか。どんな職業に就いていても、いまこの瞬間を生きること、いまやるべきことに集中できたら、きっと未来も開けるのではないかと思います。


<取材後記>

率直にして正直。それが中川氏の印象だ。「背伸びをしても仕方ないと思っています」と笑うその姿には、好きなことに熱中する少年の表情が見え隠れする。「先輩たちが創ってきたカルチャーを世界に広げていくのが自分たちの役割」だと話すその口元には、最先端のポップカルチャーのけん引する人物としての自負と責任感がにじんでいた。

アソビシステム株式会社 代表取締役

中川 悠介氏

1981年東京生まれ。学生時代から取り組んでいたイベント運営経験を基に、2007年アソビシステムを創業。国内外で開催されるライブイベントや各種メディアを通じ、原宿が生み出すポップカルチャーを世界に発信する一方、政府のクールジャパン戦略推進会議の構成員や、原宿初の観光案内所「MOSHI MOSHI BOX」の開設など多方面で活躍。原宿のファッションスタイルを表す「青文字系」という言葉の生みの親であり、ファッション誌の読者モデルとして活動していたきゃりーぱみゅぱみゅをブレ-クさせたことでも知られる。