ビジネスパーソンのキャリアアップ・転職について考えるニュース・コラムサイト

イノベーションを興す次世代リーダーたちの視点

第1回<後編>ランサーズ株式会社 代表取締役CEO 秋好陽介氏

第1回<後編>ランサーズ株式会社 代表取締役CEO 秋好陽介氏

国内初となるクラウドソーシング事業を立ち上げ、国内最大級の企業に育てたランサーズ代表取締役CEOの秋好陽介氏。前編では起業に至るまでの経緯について話を聞いたが、後編では将来に向けた展望などについて触れる。

日本を「課題先進国」から「働き方先進国」へ

――会社は順調に成長したのでしょうか?

秋好 いえ。創業した2008年はリーマンショックがあった年でしたから、数年間はかなり苦労しましたね。でも幸いなことに自分にはサービス開発経験がありますから、インフラの面倒もみられますし、プログラミングもデザインもひと通りこなせます。サポートや営業だって自分でやれば1円もかかりません。当時、主な固定費といえば家賃と光熱費、そしてサーバー代くらいだったと思います。それぐらいがむしゃらに働きました。

――そうした経験によって培われた仕事の流儀や、今でも大切にされている思いなどがあれば、ぜひ聞かせてください。

秋好 常にポジティブに物事を捉えるようにすることですね。たとえば、自分たちが実現したい世界あるとして、それが実現「出来る」か「出来ない」を議論するヒマがあったら「どうやったら実現出来るか」と考えるようにしています。私たちはこれまで、めまぐるしい変化の中で新たな市場を開拓してきました。出来ない理由を数え上げていたら、きっとランサーズは生まれなかったでしょう。私たちは生き残ろうと思ったからこそ、常に「どうすれば実現出来るか」を、徹底して考え抜いてきましたし、現在もそれを続けています。

―――今後、どんなことに挑戦したいとお考えですか?

秋好 今までよりも活動の幅を広げて、企業や個人に対し、広義のフリーランスを増やす啓蒙活動にも取り組んでいきたいですね。

――広義のフリーランスとは?

秋好 平日はA社のサラリーマンとして働き、土日はB社の仕事を手伝っているといったような働き方をする人々を、フリーランスの一形態と考えるということです。現在、国内でこの定義にあてはまりそうな人々は、およそ1000万人いると言われています。私たちは、こうした人々の活力を社会が受け入れることが出来たなら、国内の労働人口の減少という課題の有効な打ち手になるのではないかと考えています。

――もう少し具体的に教えてください。

秋好 はい。日本は先進国の中でもっとも少子高齢化が進んでいる社会です。日本の課題はいずれ世界の課題になります。その時、日本が「課題先進国」から「働き方先進国」に変わっていなければ、世界のロールモデルにはなりえません。これまで労働人口の減少という問題に対しては、ワークライフバランスや生産性、移民の受け入れをどうするかという議論に終始しがちでした。

しかし、1人の人間がマルチに働いたり、これまで労働市場に出て来づらかった人々、たとえば主婦の力を生かしたりすることも、同じくらい重要だと私たちは考えています。先日、新経済連盟の幹事にもなりましたので、自分たちのビジネスで、こうした方々のサポートをするのはもちろん、今後は政策提言などにも力を入れるつもりでいます。

――今後、ランサーズをどのようにしていきたいとお考えですか?

秋好 2015年に入り、ランサーズの案件総額は年間で約490億円、依頼件数にして約60万件になります。毎月コンスタントに報酬得ているユーザーはおよそ数万人ほどです。7年かけてようやくここまできたのですが、2020年までにランサーズを1000万人が働くプラットフォームにすることが次の大きな目標です。そのために今年4月から、海外の企業や人を国内のユーザーにつなげるグローバル事業にも乗り出しました。

――最後に読者にメッセージを。

秋好 どんなに小さなことでも構いません。何か新しいことにチャレンジしようと思ったら、必ずアクションプランに変え実践してみてください。そうすれば未知の領域に足を踏み入れる怖さはきっと軽減されるでしょう。あとはコントロールできないことに関しては悩まず、コントロール出来ることについては素早く着手して最善を尽くす。それだけでも十分世界が開けてくると思います。

<取材後記>

眼の前に立ち上はだかる阻害要因を発見するだけは、課題解決は出来ない。大事なのはすべてを前向きに捉え、仕事を我が事として行動することだ。それさえ出来れば、仕事はどんどん面白くなり、おのずと課題解決のスピードも上がると秋好氏は力説する。これは同社が掲げる行動指針そのものだ。「会社の理想を体現するのが社長の役割」。そう話す秋好氏は、自ら率先して規範を示す率先垂範型のリーダーとして、業界最大手の企業を次のステージに押し上げようとしている。その強い意志が垣間見えた取材だった。

ランサーズ株式会社

代表取締役CEO 秋好陽介氏

1981年大阪府生まれ。大学時代にWeb制作の受託開発を始め、インターネットビジネスに開眼。2005年大学卒業後、ニフティに入社し、インターネットサービスの企画、開発に携わる。この間、個人事業主と企業のマッチングサービスを発案し、2008年4月リート(現・ランサーズ)を創業。同年12月から日本初のクラウドソーシングサービス『Lancers(ランサーズ)』の提供を開始し、同代表として、ランサーズを国内有数のクラウドソーシング事業者に育て上げた。