ビジネスパーソンのキャリアアップ・転職について考えるニュース・コラムサイト

金融人材のゆくえ

2012年後半-2013年前半見通し

2012年後半-2013年前半見通し

エグゼクティブ・サーチ・パートナーズ 代表 小溝 勝信氏

2012年9月から2013年6月までの金融人材の求人について、エグゼクティブ・サーチ・パートナーズの小溝 勝信代表に聞いた。

外資金融が若手への求人を増やす

<2012年9月〜2013年6月 事業別求人の見通し>
◎求人・強い ○求人・やや強い
△ほどほどにある ×求人・ほとんどない
1.投資銀行ビジネス×
2.プライベート・エクイティ(PE)×
3.不動産関連
4.債券ビジネス×
5.コモディティ×
6.株式関連×
7.ヘッジファンド
8.プライベート・バンク(PB)
9.資産運用
10.M&Aビジネス

金融の雇用について見てみましょう。まずリーマンショックからほぼ4 年経過しましたが、依然世界の金融ビジネスは低迷しており、日本の金融人材市場は回復していません。2011年には、東日本大地震と原発事故、欧州債務問題、急激な円高、LIBORの不正操作疑惑や国内の証券会社によるインサイダー取引など、金融人材市場の回復を阻害する出来事が次々と起きました。

当社の調査によると、外資系金融機関の従業員数は、リーマンショック直前から2011 年末までに約6,000 人(21%)減少と判明しました。また日本の大手証券会社の業績も低迷しており、一部を除いて、昨年から大幅なリストラを断行しています。三菱UFJモルガン・スタンレー証券、みずほ証券、野村証券の3 社だけで約3,000 人が退社したと推定されます。

さらに大手外資系金融機関は「採用フリーズ」を継続しています。また最近、一部の外資系がリストラ計画を発表(モルガン・スタンレーは700 人、ドイツ銀行は投資銀行部門で1,500 人、シティグループは証券部門で350 人を削減)しています。

個人投資家向けでは、投信関連、個人富裕層関連、外資系金融機関での、個人向け投資商品の販売会社の卸ビジネスで、人材需要が見られます。最近の景気の低迷と優良企業の余剰資金状態を反映して企業の資金需要は小さく、「企業向けファイナンスビジネス」での人材需要はほとんどありませんでした。

活況を呈するM&Aビジネス、期待が高まる不動産

その一方で、円高と国内景気の低迷を嫌気し、海外市場に活路を求める大企業や中堅企業によるクロスボーダーのM&A ビジネスは活況となっています。また中・小企業による国内企業の買収ニーズも旺盛です。従ってM&Aでの人材需要は強いといえます。外資系金融機関は、リーマンショック後の大幅なリストラなどで、極端なショートスタッフ状態にあります。

M&A関連や資産運用では、経費削減の指示の下で、若手の採用が見られました。この若手採用の動きは、若手層が少なく外資系で深刻化する日本法人の「後継者」問題への対応でもあります。M&A のプロによれば、現在余裕資金がある中堅企業がこぞって企業買収を狙っているが、売り物が極端に不足しているとのことです。

大手の外資系投資銀行は採用フリーズを継続していたため、シニア人材の採用はリプレースメントに限られています。若手人材の採用は、7月以降も一部の大手外資系投資銀行で見られますので期待できそうです。不動産関連では米系ファンドが日本の不動産市場に本格参入すると報道されています。

一方、運用先に悩む欧米及びアジアの海外マネーも、日本の不動産市場に流れ込みやすい状況となっています。不動産関連での今後の人材需要の動きに注目したいところです。資産運用ビジネス全体での人材の動きは、引き続き低迷する株価、円高、そしてAIJ 投資顧問事件等の影響を受け、昨年から大きな変化は見られなかったといえます。

将来予測は依然、難しいですが、最近、当社で行った若手人材へのアンケート結果では、若手の海外駐在希望者は9割にもなりました。またグローバル時代の金融人材に合わせた英語を意欲的に学ぶ若手人材が多いことがわかりました。悲観的な見方が多い中で日本の若手人材の輝くような結果を今後、期待します。

小溝 勝信氏

小溝 勝信(こみぞ かつのぶ)

住友銀行(現三井住友銀行)を経て、ファーストシカゴ銀行東京支店の事業法人部長に就任。その後米国大手ファームのホイットニー・グループ日本支社に入社、副支社長。2004年、エグゼクティブ・サーチ・パートナーズ株式会社を設立。同社代表。NPO法人「金融人材市場の改革を進める会」副理事長。