ビジネスパーソンのキャリアアップ・転職について考えるニュース・コラムサイト

金融人材のゆくえ

2011年上期見通し

2011年上期見通し

金融プロ人材について需要不足の背景とは?

投資銀行ビジネスモデルの変化

リーマン・ショック後、外資系金融機関は従来の投資銀行ビジネスモデルの見直しを余儀なくされ、収益が低下しています。確かに一時、欧米大手金融機関の投資銀行部門収益は回復していましたが、その主因は各国中央銀行による低金利・流動性供給政策の下でのディーリング部門の巨額の収益によるものであり、投資銀行業務が全般的に回復したわけではないのです。

日本の金融部門の付加価値創造力の低下

日本の金融ビジネスの付加価値創造力(GDP)が低下しています。金融・保険部門のGDPは06年の35.2兆円から、09年に27.4兆円と22%も急減しています。一方、同部門の就業者数は06年の177.2万人から09年に184.7万人に増えています。つまり日本の金融機関は全体としてリストラしておらず、人材過剰といえます。従って、新規の人材需要はきわめて弱いと考えられます。また日本の金融業界で圧倒的な地位を占める商業銀行はリスク回避の傾向が強く、メガバンクの収益力(ROE、ROA)は欧米金融機関と比べて著しく低いです。メガバンクもリスクマネーを扱う投資銀行業務部門を強化しなければ、収益力は向上せず、人材需要を創出することは難しいのです。

金融人材 年齢別の失業

年齢構成

29歳以下…5% / 30-39歳…21% / 40-49歳…50% / 50-59歳…19% / 不明…5%
<グラフの解説>

40歳以上の失業が69%と多い。つまり中高年の転職がむずかしいことを示している。また男女では8割が男性。外資系金融社員は77%、日系金融23%の比率である。

金融プロの失業率は1割。40歳以上は7割を占める

46,626人の金融プロのデータを回収。そのデータから「現在、求職中の人」と「就業しているものの、不本意な雇用条件であるため、新たに金融機関への転職を希望している人」の合計466人を「実質失業者数」とした。(2011年1月中旬 現在)

供給側(金融人材)の問題点

  1. ① 求められる専門性の変化への対応不足
  2. ② 高額報酬へのこだわり
  3. ③ 国内金融機関への転職を嫌う
  4. ④ 英語力の不足

年齢でのミスマッチの原因

円グラフでもわかるように「実質失業者」の大半は40歳以上の金融人材で、彼らの職場復帰は容易ではありません。日本企業では年齢の優位性が評価されるのですが、外資系金融機関では必ずしもそうではないのです。実際、外資系金融機関のMD(マネジング・ディレクター)の多くは30歳代です。欧米本国の経営者が「若いMD は年収が比較的低く、将来、日本から撤退する場合、使い捨ても可能」と考えているのではないかと疑っています。しかし、30歳代のMD に、難しい環境下での経営のかじ取りや、顧客企業の経験豊富な年長の経営者への対応が十分出来るとは思えません。 日本の金融機関では基本的に「年功序列」が堅持されているので、外部から年齢の高い金融人材を採用することはまずないでしょう。

<< 次ページ 報酬条件でのミスマッチが起きている